2020年9月13日(日)礼拝説教 創世記6章1-12節

<子どもたちへ>
 皆さんは、小さい時とか、どんなおもちゃで遊んでいましたか。ウルトラマンの人形、テレビアニメや戦隊物、仮面ライダーのキャラクターの人形など、いろいろありますよね。僕は、子どもの頃、良くプラモデルを作っていました。プラモデルには、いろいろなものがあります。飛行機や車、そして人形などです。飛行機は、実際にあるものをサイズを小さくして作ることが出来ます。ラジコンカーも実際の車を250分の1とかに小さくして本物そっくりに作ることが出来たりします。
 アメリカのケンタッキー州では、ノアの箱舟の実物大の模型が展示してあって観光名所になっているようです。何もそこまでしなくても良いと思いますが、見事な感じです。 今日は、このノアの箱舟を作ったノアという人に注目をしましょう。

 先週見たカインとアベルの事件は、神様にとってとても悲しいことだったことでしょう。またアダムとエバにとっても悲しく衝撃的な事件となりました。でもその後アダムとエバにはセツが誕生します。そして多くの子どもたちが生まれました。なんとアダムの一生は930年でした。今では考えられないほど長生きです。その間に「生めよ。増えよ。」という神様の祝福が大いに与えられたことは言うまでもありません。アダムだけではなく、その子どもたちの寿命も考えられないほど長く、900年とか800年となりました。アダムたちは、僕たちの常識をはるかに超えた寿命と健康を神様から与えられていたので、大いに人は増え広がっていきました。
 しかし、人が増えることによって、あることも増え広がりました。それは、「人の罪」です。地上に増え広がった人々は、神様の言葉を忘れ、いのちを与え導き祝福してくださる神様を忘れてしまいました。そこで神様は、人の寿命を900年から120年に定められました。また、地の上をご覧になり神様の心は痛みました。6節には「悔やみ」とあります。神様が天地を造り、人を造ったことに失敗し、後悔したという意味ではありません。その後の「心を痛められた。」とか「残念に思う」とあるように、神様は、人間が悔い改めないで罪を行い続ける状況を深く悲しまれたのです。そこで神様は一つの裁きを定められました。
 それが創世記6章7節です。「そして主は言われた『わたしが創造した人を地の面から消し去ろう。人をはじめ、家畜や這うもの、空の鳥に至るまで。』」神様は、創造したすべてを滅ぼすことを決められたのです。そのような時代にあってノアは、正しい人でした。ノアは、神様の前に罪を犯し続ける人々の歩みに影響されず、神様の御心を行い、神様と共に歩んでいました。ノアはその信仰ゆえに神様に認められ、重大な知らせを受けました。17-18節です。神様は、大洪水で地を滅ぼすことにしていました。ノアとその家族、動物の雄と雌一匹ずつが助かるために、箱舟を造ることが命じられました。その箱舟は、とても大きなものです。箱舟の長さはおよそ130m、幅は約23m、高さは約13mあります。おそらく学校の校舎よりも大きなものだったお思います。しかも全部手作りです。今のようにチェーンソーはありません。大きなものを運ぶ機械などありません。ノアは、家族総出で木を切り出し、組み立てて行くのです。しかも大雨が降るような地域ではないのです。どうしてそれほどの大きな舟が必要になるのかまったく理解できないことだったでしょう。けれどもノアは、神様に言われたとおりのものを作りました。その期間も相当な時間がかかったと思います。

 ノアが、箱舟を作り終えた時、神様は、ノアとその家族に箱舟に入るように言いました。そして神様は、全ての動物の中から二匹つづノアの所に集めてくださいました。そして地上の全ての動物が箱舟に入りました。神様は、全てのことが完了すると箱舟の戸を完全に閉じてしまいました。もう誰も入ることは出来ません。すると雨が降り出し、40日間降り続けました。大洪水が発生して全てを飲み込み、地上の生き物は滅ぼされてしまいました。ただ箱舟に入ったノアたちだけが救い出されました。
 神様は、罪を悲しまれます。神様は、僕たちが罪を悔い改める事を願っておられます。神様は、僕たちが救われるためにイエス様を地上に送ってくださったのです。イエス様は、僕たちの罪のために十字架にかかり、死んでよみがえってくださいました。僕たちは、イエス様の十字架による救いを受けることが出来るのです。僕たちは、罪を悔い改めてイエス様を信じて救いを頂きましょう。そしてノアのように、神様と共に歩む人生をスタートしましょう。
祈り
「愛する天の父なる神様。ノアは、神様の言葉を信じて従いました。ノアの時代、罪を悔い改めることをしなった人々は、神様の裁きを受けてしまいました。僕たち(私たち)は、イエス様を信じ、神様と共に歩みたいと願います。どうぞ導き助けて下さい。イエス様の御名によってお祈りします。アーメン。」


<適用>
 私たちは、大雨の怖さを知っています。今年は梅雨の長雨で被害が発生し、台風でも被害が出ています。毎年のように水による災害が発生しています。被害に遭われた地域の方々に神様の慰めがあり、復興が守られるようにと祈ります。 今日は、ノアという人物に注目しましょう。彼は、どんな生き方をしていたのでしょうか。

Ⅰ;全き心をもって

 ノアは、全き心を持って神と共に歩んで人でした。ノアの生きていた時代は、6章11節で「地は神の前に堕落し、地は暴虐で満ちていた。」と言われているように罪に罪を重ね堕落していた時代です。地上の人々は、神様を離れ、神様の言葉に耳を貸さず、自分勝手に生きていたのです。5節では、「地上に人の悪が増大し、その心に図ることがみな、いつも悪に傾く」とあります。ノアの時代は、誰も彼もが、自分の欲望のままに物事を考え、自分の思いのままに行動し、神様から離れていったのです。聖書は、この時の神様の思いを「それで主は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた(6)」と表現します。神様が、創造のわざを失敗し、後悔したと言うことではありません。神様は、愛を持って人を形造り、いのちを与えて下さいました。アダムが罪を犯しても、なお人を愛することをやめず、憐れみの御手を伸ばし続けていました。それでも人は、神様を忘れ、神様を無視した生き方を選び続けたのです。その人の心のありようを神様は悲しまれたのです。
 その結果神様は、地上を滅ぼすことを決めるのです。しかし神様は、やはり憐れみを忘れません。神様は正しいノアに目を留めてくださいました。ノアは堕落し、暴虐で満ちている社会の中にあって主の心にかなう正しい信仰者として生きていました。ノアが罪なく完全であったということではありません。確かにノアは、人としてアダム以来の罪の性質を持っていました。でもノアは、自分の罪を知り、不完全さを知ってなお神様に信頼し、信仰を持って歩んだのではないかと思うのです。ノアの心は、神様と一つとなっていて、真心から神様に従っていたのではないでしょうか。だから神様は、ノアを正しい人と認めてくださったのです。

 私たちの生きている時代は、決して良い時代とは言えません。ノアの時代とそう変わらないのではないでしょうか。今も人々の心に図ることは、悪に傾いている状況です。私たちは、人の命が軽く扱われているようなニュースを毎日のように聞きます。人々は、自分の好きなように生き、倫理観、道徳観は崩壊している状態です。そして世の中にある情報は、ほとんどが創造主なる神様を否定するようなものばかりです。この世界全体が、聖書の教えからかけ離れた状態です。
 そのような社会にあって神様が目を留める人がいます。それは、ノアのように神様を信じ、神様の御心に従い、神様と共に歩む人です。ノアは、「彼の世代の中にあって全き人」でした。私たちは、私たちの生きている世代の中にあってどのように歩むでしょうか。私たちは、全き心をもって真心から神様を信じて歩み、神様に目を留めていただける生き方をしましょう。

Ⅱ;御心を知り証ししつつ

 ノアは、御心を知りつつ、神様と共に歩んで人でした。ノアの生き方の姿勢は、創世記6章22節に現れていると思います。ノアは、「すべて神が命じられたとおりにし、そのように行った(22)」とあります。ノアは、神様が大洪水で地上を滅ぼす事を決めたことを聞かされました。きっとノアは、驚いたことでしょう。それだけではなく、箱舟を作りなさいと言われるたのですから、何が何やら頭の中は混乱したことでしょう。その箱舟は、ノアの家族と動物たちが助かるためです。箱舟の大きさは、1キュビトを44cmとすると、長さが132m、幅が22m、高さが13mで、3階建てです。
 先ほども言いましたが、電動工具などありません。クレーン車などの重機もありません。すべて手作業となります。作成にどの位、時間と労力を必要としたか想像できません。聖書から分かることは、ノアにセム、ハム、ヤフェテが生まれたのが500歳の時で、洪水がノア600歳の時です。いつの時点で神様がノアに話したのかは分かりませんが、箱舟造りには何年もかかったのではないでしょうか。しかしノアは、その間、信仰をもって神様の言われた通りに従いました。ヘブル11:7でノアの信仰が紹介されています。「信仰によって、ノアはまだ見ていない事柄について神から警告を受けたときに、恐れかしこんで家族の救いのために箱舟を造り、その信仰によって世を罪ありとし、信仰による義を受け継ぐ者となりました。」ノアは、神様の御心を理解し、その神様の思いを自分の思いとして歩んでいたのです。それが、神と共に歩む生き方を生み出していくのではないでしょうか。

 そしてそのような生き方は、周囲への証しとなって行きます。ノアの箱舟造りは、神様の言われるとおりに進んでいきます。完成には、かなりの年数がかかりました。このノアの行動は、人々には馬鹿げた事だったことでしょう。ノアは、神様の命令があったときから来る日も来る日も箱舟を作り続けます。雨の少ない地域で、何故大きな舟が必要なのでしょうか。ノアの家族は総勢8人ですからそんなに大きな舟など必要ではないはずです。でもノアの作っている箱舟は、約130mもの長さがあるのです。誰もが、ノアのしていることを笑ったことでしょう。
 でもこのノアの行動こそが証しとなりました。ノアは、箱舟を作りながら人々に語ったかもしれません。ノアの行動は、そのまま人々へのメッセージとなりました。どのようなメッセージかと言うと、「神様が罪をご覧になり、心を痛められていること。罪に対して神様の裁きがくだり、滅びがまっていること。この神の怒りと裁きから救われるためには、神様の言葉に従い、信仰を持って悔い改めることが必要だ」というメッセージです。そのようなメッセージがノアの生き方、生涯から証しされ、伝えられているのです。でも誰もノアの証しには応答しませんでした。
 箱舟が完成してからも神様のメッセージとノアの証しは続きます。ノアとその家族は、実際に大雨と大洪水から助かるために箱舟に入ります。それだけではなく、動物たちが次から次へと箱舟に集まってきます。当然ノアたちでは、全ての動物を二匹つづ見つけ出して連れてくることは出来ません。神様が、動物たちを導いていたと考えて良いのではないでしょうか。その様子は、最後の警告となりました。けれども最終的に箱舟に入ったのは、ノアの家族と神様の言われたすべての動物だけでした。箱舟の戸が固く閉じられ雨が降り出し、40日降り続け、すべてのものを飲み込んでしまいました。その時に箱舟に来ても遅いのです。

 今の時代にあって、私たちがクリスチャンとして生きることには、大きな意味があります。やはり神様は、今の世の中を見ておられます。そして神様は、この地に悪が増大しているのをご存じです。神様は、罪には滅びと言う裁きを定めておられます。けれども神様は、人間が滅びることではなく、悔い改めて救われることを願っておられます。そのために神のひとり子イエス様は、地上にお生まれになり、十字架にかかって下さったのです。私たちは、このイエス様の十字架の救い、神様の愛を証しすることが委ねられているのです。私たちは、ノアのように、私たちの生き方、生涯を通して神様の恵みを証しすることが出来るのです。私たちが心から神様を見上げ、信仰を持って、神様の言葉に従って歩むならば、その生き方そのものが周囲の人々への証となります。そのために私たちは、神様と共に歩ませて頂きましょう。
祈り
「天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。ノアの時代は、神様に背を向け悪が増大するような時代でした。そのような中にあってノアは、神様を見上げ、神様の前の正しい心で歩み、神様と共に歩みました。
 今、私たちを取り巻く時代は、ノアの時と変わらず、人々は神様に背を向け歩んでいます。私たちも誘惑に負けやすく、神様から目をそらしやすい者です。 神様、私たちが神様を見上げ、真心を込めて従い、信仰を持って歩むことが出来るように助けて下さい。そして証し人として主の栄光を表すことが出来、神様と共に歩ませて下さい。 この祈りを、イエス・キリストの御名によってお祈りします。アーメン。」