2020年9月20日(日)礼拝説教 創世記8章1-12節「契約の虹」

<子どもたちへ>
 みなさんは虹を見たことがありますか?普通の虹の他に、私は変わった虹を見たことがあります。1つはダブルレインボー。二重の虹です。もう1つはサークルレインボー。360 度のまん丸な虹です。思わず写真を撮ったりしました。同じことをする人もいて、写真を送ってくれる人もいました。神様の下さった、素敵な自然現象ですよね。聖書では、虹は神様の約束のしるしだといわれています。一体どんな約束なんでしょうか。
 神様は、人間の世界が罪が溢れるのを悲しんで、大洪水で世界を滅ぼそうとされました。その時守られたのは、箱舟に乗り込んだノアとその家族、動物たちだけでした。40 日40夜大雨が降り続いて水が溢れ、山々すらも水に沈んでしまいました。今日はその続きです。
 ノアはどの位の期間、箱舟の中にいたのでしょうか。聖書を見ると、水がひき始めるまで5カ月かかったとあります。新型コロナでの皆さんの休校期間は3 か月でした。長く、つらく、緊急事態が終わるのが待ち遠しかったと思います。ノアたちはもっと大変だったでしょう。箱舟生活がいつまで続くか分からない不安、動物の世話、食料の保存など、問題は一杯だったでしょう。でも神様はノアや動物たちを覚えていてくれました。私たちも新型コロナで先の見えない状況にいますが、神様が私たちを覚えておられる、というのはとても大きな慰めです。

 さて5 カ月が過ぎて水が引き始めると、箱舟はアララテ山に着地しました。ドーン、と揺れ動いたかもしれませんね。それから待つこと4カ月。水は引き続き、山も見えてきました。ノアは地上の様子を調べようと、窓をあけてカラスを飛ばしてみました。するとどこかに飛んで行きましたがすぐ帰ってきました。まだ水が一杯で、どこにも休む所がなかったんですね。1 週間後、今度は鳩を飛ばしました。すると鳩は、オリーブの若葉を加えて夕方に帰ってきました。足を休める所も見つかったし、オリーブの木が育ち始めたということです。さらに一週間後、ノアはまた鳩を飛ばしました。今度は鳩は帰ってきませんでした。巣を作る場所を見つけられたのでしょう。
 もう大丈夫、箱舟を出たい!とノアたちは思ったことでしょう。でもノアは神様の時を待ちました。これはとても大事なことです。ノアは更に2 か月も待ちました。そして、大洪水の始まりから約1年たったある日、ついに神様がおっしゃいました。「ノアよ。家族や動物と一緒に出ておいで!」
そこには整えられた新しい世界がありました。新鮮な空気はなんておいしいんでしょう。踏みしめる地面はしっかりして、歩くのも嬉しかったでしょう。閉じ込められた生活が終わって、ノアはまず最初に、動物と鳥のいけにえを捧げて神様を礼拝した、と聖書にあります。世界が滅びる中で、自分たちを選んで守り、確かに新しい世界に立たせて下さったことへの感謝を表したのです。神様はこうおっしゃいました。「わたしは二度と洪水で人間と動物とを滅ぼすことはしない。そのしるしに私は虹を立てよう。虹を見て私はこの永遠の約束を思い出そう。」(虹が出たとき、神様も見ておられるのですね。)

 人間は生まれながらの罪人です。ノアの後も人間が罪を犯すことに変わりはありませんでした。でも神様は、裁きでなくイエス様によって救う道を選んで下さったのです。この大きな恵みに感謝して、私たちも神様に従い神様に信頼する者になって行きましょうね。

<適用>
 先週は、関東南部で雲が七色に見えたそうです。普通は、雨上がりに空気中の水分が太陽に照らされて虹が見えるのですが、雲が虹色に見えるのは、珍しいそうです。「虹」について調べてみると、色合いの見え方には国や地域によって違いがあるそうです。日本では7色ですが、国によっては6色とか8色に見えるそうです。一番少ない色で2色という地域もあるようです。私たちは、「虹」を見ると何となく嬉しくなると言うか、テンションが高くなりますね。虹を見ると、「今日虹を見た」とか自慢したくなります。もちろん、私は、虹を見ると嬉しくなりますし、虹の始まりに行けないものかと考えたりします。虹の中に入ってみたいような気にもなります。皆さんは、いかがでしょうか。しかしどうして人は、虹を特別なものと考え、虹を見るとワクワクし、嬉しい気持ちになるのでしょうか。それは、ノアの箱舟と関係があると思います。と言うのは、虹は、神様が与えて下さった特別なものだからです。今日は、敬老礼拝と言うことで、ご高齢の方々、信仰のそして人生の先輩方の事を覚えて祈る時でもあります。共に主の恵みを心に留めましょう。

Ⅰ;神は覚えていてくださる

 神様は、ノアたちと動物たちを覚えておられました。ノアが経験した大雨は、創世記7章11節で「大いなる淵の源がことごとく避け、天の水門が開かれた」とあるうに、地から水が溢れ続け、天から大雨が降り続けるものでした。そして、水は、150日間増え続けるという想像を絶する状況となりました。こうして神様は、造られた全てのものを滅ぼされました。この洪水がどれほどの範囲か、全地球的なのか、それともその当時全世界と言われていた限られた地域なのかは、議論のあるところのようです。はっきりとしていることは、神様は、人の罪へのさばきとして洪水を起こされたということです。
 箱舟が水の上を漂っている間も神様は、ノアたちを覚えておられ、共にいて下さいました。大洪水が発生してから150日の終わりに、水が減り始め、箱舟はアララテ山にとどまります。私は、このアララテ山に留まったということの中にも、神様の配慮があったのだと思うのです。箱舟は、水を上を漂っていて、舵を取ることが出来なかったでしょうから当然進行方向を変えることも障害物をよけることも出来ません。けれども箱舟は、山に衝突することなく、大きな岩場に挫傷するのでもなく、船底を山にしっかりとつけて、とどまることが出来たのです。神様が、ノアとその家族、動物たちを心に留められた結果です。

 ノアは、地上の様子を知るために烏と鳩を使って確認をします。ある時鳩がオリーブの若葉を咥えて帰ってきたのです。これは、乾いた所が現われ、植物が芽を生だし始めたサインです。さらに7日待って鳩を放つともう帰ってきませんでした。そしてとうとう水は、ノアが601歳の時乾ききりました。創世記8章13節「601年目の第一の一日に、水は地の上から干上がった。ノアが箱舟の覆いを取り払って眺めると、見よ、地の面は乾いていた。」けれどもノアは、すぐに箱舟を出ようとはしませんでした。何故でしょうか。その理由は、神様が箱舟に入るようにと言われたので、
神様に箱舟から出るように言われるのを待ったからです。ノアは、神様を信頼し、神様の言葉に従い行動していることが分ります。と同時にノアは、神様が共におられることを知っていたのです。

 皆さん、神様は、私たちがどのような状況の中にいる時も私たちのことを覚えていてくださり、共にいて下さいます。私たちは、その事実をしっかりと心に留めて歩みましょう。

Ⅱ;神様は心からの礼拝を喜ばれる

 神様は、心からの礼拝を喜び受け入れて下さいます。ノアが、箱舟に入ったのは、ノアが600歳の第2の月でした。そしてノアが、箱舟を出られたのは、ノアが601歳の第2の月です。と言う事は、彼らは、箱舟に1年入っていたことになります。その生活は、とても快適と言えるものではなく、多くの困難があったはずです。しかしそのような生活が1年間も出来たのは、神様がノアたちを覚えていてくださり、その状況の中で共にいて下さったからです。
 1年続いた箱舟での生活は、「箱舟から出なさい」という神様の御声によって終わりました。さて箱舟を1年ぶりに出られてやるべきことは山ほどあります。皆さんだったら、何をするでしょうか。まずは、お風呂(水浴び)をするでしょうか。洋服の洗濯をするでしょうか・・・。ノアとしては、箱舟の中を片付けること、新しい生活のために住むべき場所を確保すること、そして何よりもこの地上がどうなったかをも確認したかったでしょう。

 けれどもノアがしたことは、それら必要と思われることではありませんでした。ノアがしたことは、彼にとって最も必要なことでした。それは、神様を礼拝するということです。ノアは祭壇を築き全焼のいけにえをささげました。これはいけにえをすべて焼き尽くすという、献身を表している行為です。ノアは、この礼拝を通して、常に共にいて下さった神様への感謝と全て主にささげるという信仰を表明しているのです。まずノアがしたことは、新しい生活に向けて心を整えるということでした。そして神様の御心を求め、その神様の導きに従っていくということを確認したのです。ノアの心が、いつも神様に向けられていたということでしょう。
 神様は、ノアのいけにえ、礼拝を喜ばれました。神様は、心からの礼拝を喜んで受け入れて下さるのです。そして神様は、一つの約束をしてくださいました。創世記8章21節です。「主は、その芳ばしい香りをかがれた。そして、心の中で主はこう言われた。『わたしは、決して再び人のゆえに、大地にのろいをもたらしはしない。」と言う約束です。その言葉の中で神様は、「人の心の思い計ることは、初めから悪である」と人の心の本質を言っておられます。これは否定しようのない私たち自身の心の問題です。私たちは、信仰に導かれた者ですが、神様の御心から離れることのないように神様の助けを求めましょう。そして、私たちは、礼拝者として神様に喜んでいただける礼拝を心からささげる者となりましょう。

Ⅲ;神の永遠の契約

 神様は、永遠の契約をノアとその後の人類との間に結んでくださいました。まず神様は、ノアとその息子たちを祝福されました。「神はノアとその息子たちを祝福して、彼らに仰せられた。『生めよ。増えよ。地に満ちよ。』(創世記9章1節)」これは、神様がアダムに語られた祝福です。神様は、人類が地の上に増え広がるように祝福を与えて下さったのです。
 そして神様がノアにしてくださった契約は、洪水によって地を滅ぼすことはしないと言うものです。その契約のために神様は、一つのしるしを与えてくださいました。そのしるしとは、「虹」です。普通は、契約と言うと、お互いに契約を交わすと言うものです。それは、契約を結ぶ双方が契約を守る責任を持つと言う性質をもっています。しかし神様が、結んでくださる契約は、神様からの一方的な憐れみによる契約であり、神様がその契約を
責任をもって守って下さると言うものなのです。しかも神様は、「永遠の契約」と言われました。神様がノアと結ばれた契約は、ノアの時代から今に至るまで、そしてこれからも有効となるものです。さらに神様は、「虹が雲の間にあるとき、わたしはそれを見て、神と、すべての生き物、地上のすべての肉なるものとの間の永遠の契約を思い起こそう(創世記9:16)」と言ってくださるのです。

 神様は、虹を見るたびに、ノアとの契約を思い起こしてくださるのです。虹は、神様とノアとの契約のしるしであり、神様と私たちとの契約のしるしでもあるのです。それは、救いの契約でもあるのです。だから私たちは、虹を見ると嬉しくなり、テンションが上がるのです。虹には、神様の愛と恵みの契約があるからです。

 ノアは、洪水の後350年生きました。ノアの生涯は、950年ですから、洪水の後の350年は、彼の人生の後半ということになります。ノアは、人生の後半を神様の契約と共に歩みました。ノアは、空にかかる虹を見るたびに洪水のことと、神様の守りと支え、契約の恵みを思い起こして過ごしたのではないでしょうか。今日ここに集まっている方々は、高齢の方も若い方々もいます。私たちは、それぞれの人生の中で神様と共に歩み、神様の救いの契約の中に入れられている事を覚え、主を見上げて歩みましょう。

 神様は、どんな時でも私たちのことを心に留めて下さり、私たちと共にいて下さいます。そして神様は、私たちの心からの礼拝を喜び受け入れて下さます。そして神様は、愛をもって私たちを導き御手を差し伸ばして下さるのです。私たちは、そのことを感謝し、特に「契約の虹」を見るとき、これらの事を思い起こし神様に感謝をささげましょう。

祈り
「天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。神様、あなたはノアを覚えておられ、箱舟の生活を守って下さいました。今も神様は、私たちのことを覚えておられ、御手を差し伸ばし導いてくださる事を信じ感謝致します。
 ノアは、箱舟を出て一番最初に主を礼拝しました。神様は、ノアの心からの礼拝を受け入れ喜んで下さいました。私たちも心から神様を礼拝します。私たちの捧げる礼拝が、神様に受入れられるものとなるように私たちの心を整えて下さるようにお願い致します。
 神様が、ノアと契約を結び虹をしるしとして与えて下さっていることを感謝致します。神様の救いの契約を信じ、神様を見上げて歩み続ける事が出来るように助け導いて下さい。この祈りを私たちの救い主イエス・キリスト御名によってお祈り致します。アーメン。」