<子どもたちへ>
皆さんに質問です。先週のお話を聞いていた人はわかると思いますが、「イスラエルの初めての王様は誰でしたか?」…答えは「サウル王様」です。では、2番目の王様は誰でしょう?…2番目って意外とわからないものですね。今日はその2番目の王様になる人のお話をします。
「はあ…。」ため息をついている人がいます。悲しそうな顔です。この人は預言者サムエル。「ああ、残念だ。サウル王は神様に逆らってしまった。神様はサウルを王位から退けるとおっしゃった。」すると、神様がサムエルに言いました。「いつまでも悲しんでいないで、私が選んだ新しい王に会いに、ベツレヘムに行きなさい。エッサイという人の息子の中に見つけてあります。」
いけにえを捧げるという名目で、サムエルはベツレヘムに行き、祝いの宴会を開きました。エッサイと7人の息子たちがやってきました。上の兄さんから順番にサムエルにあいさつします。「こんにちは、サムエル先生!」長男のエリアブを見て、サムエルは「この人だ!」と思いました。背も高いし、立派な大人です。文句なく次の王様になれそうです。でも、神様は言われました。「この人ではない。私は人が見るようには見ないのだ。」今日のみことばを一緒に読みましょう。「人はうわべを見るが、主は心を見る。Iサムエル16章7節」
結局7人全員違いました。サムエルはエッサイに聞きました。「息子さんはこれで全員ですか?」するとエッサイは「いいえ、末っ子が羊の番をしています。」と答えました。大事なお客様であるサムエルに会うには幼すぎる、と思われていたのでしょう。連れてこられた8男坊の名前は…「ダビデ」でした!まだ少年です。しかし神様は「この人だ。さあ、油を注げ」と言われました。そこでサムエルは、居並ぶ7人の兄さんたちとお父さんエッサイの前で、少年ダビデに油を注ぎました。油を注ぐとは、王様に選ばれた印です。神様が選んで特別な祝福を与えられることを意味します。この日からダビデに神様の霊が激しく下った、とあります。
ダビデが2番目の王様になるのはまだ先です。サウルはまだ王様でしたが神様の霊が離れていってしまい、わざわいの霊がサウルをおびえさせることが増えてきました。そこで家来が「王様、きれいな竪琴の音色を聞くと、気持ちが落ち着きますよ」と進めたので、上手に弾けるダビデがサウル王様のそばで演奏することになりました。サウルはダビデをとても気に入って、自分の道具持ちとして召し抱えるようになりました。
さあ皆さん。初代のサウル王と2番目の王となる少年ダビデ、何が違ったのでしょうか。態度の立派さとか、体格とか、様々な経験、そういうものではサウルの方が勝っていたかもしれません。しかし、ダビデには神様に信頼する強くて純粋な信仰がありました。神様は表面的な立派さよりも、目に見えない信じる心、神様を愛して従う心を求めておられたのです。ダビデは神様に喜ばれる心を持った人だったのです。私たちはどうでしょうか?目に見えないことは後回しになりやすいですが、神様が見ておられることを覚えて、心と信仰とを成長させていただきましょうね。
<祈り>
神様、あなたが少年ダビデの信仰と心を喜ばれ、2番目の王様に選ばれたことを学びました。私たちも、神様に喜ばれる心と信仰を大切にしていきたいと願います。どうぞ成長させてください。御名によってお祈りします。アーメン。
「人はうわべを見るが、主は心を見る」 サムエル記第一 16章7節
<適用>
今年も後半に差し掛かっていますが、2021年は政権交代が続いた年だと思います。アメリカでは新しい大統領が選出され、今年になって就任しました。アフガニスタンでは米軍撤退のタイミングを見越してタリバンが挙兵し、イスラム原理主義的な政権が復権しました。日本もまた内閣が変わり、第100代の岸田総理大臣が誕生しました。さらには来週には衆議院選挙が行われ、国会の顔ぶれが一新されます。
アメリカやアフガニスタンでの政権を巡る紛糾と暴力は血なまぐさいものでした。日本では選挙という平和的な政権移譲が守られていることを、感謝しなければならないと思います。Iテモテ2章1節には「すべての人のために、王たちと高い地位にあるすべての人のために願い、祈り、とりなし、感謝をささげなさい」とあります。政治に無関心でなく、為政者のための祈りを捧げるのがクリスチャンの大切な使命の一つです。改めてそのことを覚えたいと思います。
さて、古代イスラエル王国における初めての政権交代は、神様とサムエルによってひそやかに進められていきました。ダビデは王に選ばれて実際に就任するまで時間差があります。ダビデの選びから、神様の大事になさるのは心のあり方にあることが分かります。2つの点から学んでまいりましょう。
1.選びの基準
神様はみことばに従わなくなったサウルに代わり、ベツレヘム人エッサイの息子たちの中に新しい王を見出されました(1)。
「エッサイ」と聞いてピンときた方、いらっしゃるでしょうか。ルツ記最後の系図にその名がありましたね。エッサイの父はオベデ、オベデの父はボアズです。そう、エッサイはあのルツとボアズ夫妻の孫なのです。そして神様はルツたちのひ孫にあたる人物の中から新しい王を選ぶとおっしゃっているのです。ここに人の意欲でなく、神様の大きなご計画があることがわかります。神様ご自身が歴史の一つひとつをお導きになっておられるのです。
サムエルはエッサイと彼の子たちを祝宴に招きましたが、ただ彼らを聖別するつもりであることだけ話していました。最初に長男のエリアブが進み出たとき、「きっとこの者だ」とサムエルは早合点します。けれどここで神様は大切なことを言われます。今日の中心聖句、7節にはこうあります。「彼の容貌や背の高さを見てはならない。私は彼を退けている。人が見るようには見ないからだ。人はうわべを見るが、主は心を見る」。神様はエリアブを退けました。さらには7男まで全員を退けられました。
これはどういうことでしょうか。人が人を選ぶとき、何かの基準で判断します。社会的な地位、経験の豊かさ、これまでの功績、年齢、体力、押し出しの強さ、容貌の良さなどが材料になるでしょう。しかしそれは必ずしも正しい選択を保証するものではありません。何故なら人の基準は表面的なもの「うわべ」に留まってしまうからです。サムエルですら、表面的な価値観から自由ではありませんでした。私たちはなおさらです。
神の選びにおいては「心」がすべてに優先する基準です。「神を愛し神に従う心」です。ダビデはこの時、子どもというより少年後期、ハイティーンの時期と思われます。神様の目にかなう心を持っていたのは、この少年ダビデだけでした。
世にあっては選挙やリーダーの選出など、人への評価が求められます。それに加えてクリスチャンには牧師の招へい、教会役員の選出、結婚相手選びなど、多くの重要な機会があります。選択を間違えると大変なことになります。「神を愛し従う心」が大切であることを覚えて、神様の前に適切な判断ができるよう祈ってまいりましょう。また自分自身も主のみこころにかなう歩みが出来るよう、成長させて頂きましょう。
2.神の霊に導かれる歩み
こうしてダビデは父と兄弟たちの真ん中で油注ぎを受けました。「油注ぎ」とは祭司や預言者、イスラエルの王の任職の時になされた儀式です。また民衆が望むものを王に立てようとする時にも行われていたようです。実際ダビデにはこのあと2回、民衆からの油注ぎがなされ、合計3回の油注ぎを受けています。
聖書には、その日以来ダビデの上に主の霊が激しく下ったとあります(13節)。これはサウルが油注がれた時と同じです。油は神の霊を象徴し、神が共におられることを目に見える形であらわしていると考えられます。ちなみにイエス様はキリストと呼ばれますが、「キリスト」「メシア」とは「油注がれた者」という意味です。神に選ばれた救い主イエスが、やがてこのダビデの子孫からお生まれになるというのも、大きな神の御計画のひとつであります。
将来の王に選ばれたダビデが神の霊を受け神の祝福を受ける一方で、現在の王サウルがどうなったかといえば、悲惨でした。14節には「主の霊はサウルを離れ去り、主からのわざわいの霊が彼をおびえさせた」とあり、18章10節には「わざわいをもたらす、神の霊がサウルに激しく下り、彼は家の中で狂いわめいた」と書かれています。詳細は不明ですが、人は神との幸いな関係の下に歩んでいるのか、そうでないかのいずれかであると強烈に示されています。全くの中立はないのです。
これは王や預言者、祭司だけの問題ではありません。私たちは神の選びによって神の子とされ、クリスチャンとして頂きました。これは聖霊の働きによる恵みです。神の霊によって始まった歩みは、どこまでも神の霊に導かれてこそ守られていくものです。今、自分の知識や知恵、経験、自分の思いだけで歩んでいることがないか、点検いたしましょう。サウルのように神と距離が出来て心が離れていないでしょうか。いつも喜んで神を心のうちにお迎えしているでしょうか。さまざまな恐れから解き放たれ、本当の平安を味わうためには、神様と常に親しく交わり続けることが大切です。このあとのダビデは失敗しても主に立ち返って、終生祝福されていきます。私たちも、自分自身のみならず次の世代にも祝福が引き継がれていくように、神の霊に導かれる歩みにとどまり続けていこうではありませんか。
<祈り>
神様。私たちはどんなに努力しても、「うわべ」による判断から自由ではありません。あなた様の前に本当に価値のある心を最優先にすることを、いつも私たちに思いださせてください。また恐れから解き放たれ本当の平安を持つことを願います。あなた様との親しい交わりに留まり続けられるようお導きください。御名によってお祈りします。アーメン。