2023年1月8日(日) ダニエル書2章14-23節 「知恵と力は神のもの」 説教者:赤松勇二師 CS説教:赤松由里子師

<子どもたちへ>赤松由里子師

 さあ、今年もはりきって聖書を学んで行きましょうね!さて、外国の人やキャラクターの名前は聖書から取ったものが多い、ってしっていますか?例えば、このキャラクターもそうです。良く知られているキティちゃんのお隣、この子は何という名前でしょうか?正解は、ダニエルです。じゃあ、聖書に出てくるダニエルさんって、どんな人か知っていますか?あんまり知らないかもしれませんね。今週と来週はダニエルさんのお話をしますから、良く聞いて下さいね。

 時はイエス様よりも何百年も前、ユダの国が弱くなり外国に占領されていく時代のことです。エルサレムに攻めて来たバビロニアの王様は、イスラエル人を捕まえて、遠いバビロンの都のお城に連れて行くことにしました。王族、貴族のうち、体が丈夫、頭が良く見た目も言い男の子が選ばれました。将来王様の家来にするためです。ダニエルと3人の友達もその中にいました。本当の神様を信じる、信仰で繋がった友でした。
 バビロンのお城では、大変なこともたくさんありました。難しいバビロニア言葉や決まりを勉強しました。特に大変だったのが食べ物です。慣れない味もそうですが、偽物の神様に捧げられた肉やごちそうを出されるのが苦痛でした。でも係の人にお願いして、水と野菜だけを食べるようにしたら、誰よりも元気に過ごせていました。

 そんなある日のことです。バビロニアの王様が怖い顔をしています。家来を呼んでいいました。「私は不思議な夢を見た。それも何度も何度も同じ夢を見る。特別な意味があるように思うが、誰か教えてくれる者はいないか。」学者たちがやってきて言いました。「王様、どんな夢を見たのですか?」王様は言いました。「それは言えない。教えればきっと適当な意味を言うだろうから。まずどんな夢か当ててみなさい。」学者たちは困ってしまいました。「王様、それは無理です。人の見た夢を当てるなんて、神様にしかできません。」すると王様はかんかんに起こって、「学者たちを皆殺しにせよ!」と叫びました。ダニエルたちも殺されることになってしまいました。

 ダニエルは王様の所に連れて行ってもらって、少し時間をくれるようお願いしました。そして3人の信仰の友に知らせて、一緒にお祈りをしました。「神様、王様の夢とその意味をどうぞ教えて下さい。誰も殺されないようお守りください。」するとその夜、神様は夢とその意味を、ダニエルに教えて下さいました。

 王様がダニエルに言いました。「私の見た夢がわかるのか?」「王様、人間にはそれは分かりませんが、神様は何でもご存知です。その神様が私に教えて下さいました。その夢はこうです。」ダニエルは言いました。「王様は大きい像の夢をご覧になりましたね。それは色々な素材でできていました。頭が金、胸と両腕は銀、お腹とももは青銅、すねと足の一部は鉄、足の一部は粘土でした。」その通りなので王様はびっくりしました。ダニエルは続けます。「そこへ大きい石が飛んできて、その像が粉々になったのではありませんか?」「その通りだ!」ダニエルは説明しました。「大きな像は国々を表しています。金の頭は王様、あなたです。バビロニアは立派な国ですが、次々に色々な国が現れます。銀、青銅、鉄と粘土が入り混じっていたのはこれから現れてくる国のことです。けれど人間が治める国はいつか皆なくなります。最後には神様の国だけが残ります。これは正夢で、これから起こることを神様が王様あなたに教えて下さったのです。」
 これを聞いて王様はダニエルにひれ伏しました。そして言いました。「ダニエルの神はどんな神々より素晴らしい神だ!」そしてダニエルを国の大臣に任命し、3人の友達も高い位につけました。

 皆さん、ダニエルたちは自分の力では解決できない問題が起きた時、まず神様にお祈りしましたね。神様は私たちのすべての問題をご存知で、最善に導くことの出来るお方です。今日のみことばは、ダニエルが神様から夢を知らせて頂いた時の賛美のことばです。一緒に読んでみましょう。私たちに必要な知恵と力を与えて下さる神様に、祈り求めて行きましょう。

祈り
「神様、今年も聖書を学び始めました。この1年もしっかりみことばを学び、神さまの側から離れずに歩めますようお守り下さい。今日は、ダニエルたちを神様が助けて下さったお話を聞きました。私たちに力と知恵が足りなくても、神様にはその力があることを信じます。信じてお祈りし、神様の助けを体験していけますよう、お導き下さい。御名によってお祈りします。アーメン」

「ダニエルはこう言った。『神の御名はほむべきかな。とこしえからとこしえまで。知恵と力は神のもの。』」                        ダニエル書2章20節

<適用>赤松勇二師

 私は、神様の導きの中で牧師として仕えさせていただいています。毎週礼拝のメッセージを語りますが、毎回、様々な事柄を言葉で言い表す事の難しさを感じています。私は、言葉で表現するというか、自分の考えや思いを言葉に表すことが苦手でもあります。例えば、病院に行った時に、医師は必ず「どうしましたか?」と聞いて来ます。私は、その質問が苦手なのです。私は、病院に行く前に「『頭痛がする』と言えば、どのような痛みかとか聞かれるだろうし、何時頃から症状が出て、今はどうかと聞かれるだろう」とシミュレーションをしています。だから余計疲れてしまうのです。
 教団の中で何人かのチームで何かに取り組む時には、説明の上手な人に「この事については、〇〇先生に説明してもらいます」とふって任せてしまうことも多いのです。どうしても話をする必要がある時には、言葉を整えながら、上手く説明が出来るようにと、神様に祈りつつ準備をします。
 毎週のメッセージのためにも私は、御言葉をまとめる知恵と語る力が与えられるように祈りつつ準備をさせていただいています。今日も、神様が一人一人に御言葉を理解する知恵を与えてくださるようにと祈りつつ語らせていただきます。

Ⅰ;祈り求めることが出来ます

「知恵と力は神のもの」です。ですから私たちは、神様に祈り求めることが出来ます。 
 もう一度、ダニエルの身に起った出来事を振り返ってみましょう。ダニエルは、エルサレムがバビロンによって包囲され攻撃された時、バビロンに捕囚とされた民の一人でした。ネブカドネツァル王は、捕囚の民の中から優秀な人材を選びました。その中にもダニエルはいたのです。それは、神様がダニエルとほかの3人を用いられたからです。こうしてダニエルは、ネブカドネツァル王に仕えることとなりました。
 そのような時に、ネブカドネツァル王は一つの夢を見ました。その夢が余りにも不思議なので、王は、自分の夢の意味を知りたいと思い、バビロンにいる呪法師、呪文師、呪術者、カルデヤ人を呼び寄せました。カルデヤ人と言うのは、魔術の専門家と理解してよいでしょう。ネブカドネツァル王は、彼らに自分がどんな夢を見たのかその内容と解き明かしを求めました。王は、夢を最初に言ってしまえば、うまくごまかされるかもしれないと思い、夢を言い当てることとその解き明かしを命じたのです。

 呪法師たちは、それは不可能だから夢を聞かせてくださいと願います。当然ですね。この時、呪法師たちは、ネブカドネツァル王に何と答えているでしょうか。ダニエル書2章11節「王がお求めになっていることは、難しいことです。肉なる者と住まいをともにされない神々以外に、それを王の前に示すことができる者はおりません。」呪法師たちは、「ネブカドネツァル王の求めていることは人間には不可能なことで、自分たちの信じている神々でも不可能なことだ。」と認めているのです。彼らは、自分たちの信じている偶像は、無力であると告白したことになります。

 こうしてネブカドネツァル王は、「怒り、大いにたけり狂い」呪法師をはじめバビロンの知者を全員殺してしまえと命令を出しました。この命令は、ダニエルや3人の友人たちも含まれています。この時ダニエルは、どのような態度を取ったでしょうか。ダニエルの取った態度と言葉は、バビロンの呪法師や呪文師などとは全く違いました。ダニエルは、自分や友人たちの命が危険にさらされた時、「知恵と思慮とをもって応対し」ました(14節)。ダニエルは、主に祈りこの事態を乗り越える道を求めたのです。また、その対処法という知恵を主から頂きました。まず、何が起きているのか侍従長に尋ねます。事の次第を把握したダニエルは、王に夢の解き明かしをする時間を与えてくれるように願い出ました。ダニエルは、主なる神が、ネブカドネツァル王の夢の解き明かしを示してくださると信じていたのです。

 ダニエルは、自分一人で祈ったのではありませんでした。彼は、3人の信仰の友に自分のしようとしている事を知らせ、心を合わせて祈るように要請したのです。ダニエルが祈ると、神様は夜の幻のうちに夢とその解き明かしを示してくださいました。こうしてダニエルは、祈りによって神様からの答えをいただき、御心を確認して前に進むことが出来るようになりました。

 ここに、問題の解決の最善の方法が示されています。ダニエルは、何事にも祈りによって判断し、主に委ねる人生を送っていました。今回もまず主に祈ることからすべてのことがスタートします。私たちは、何か問題や試練に遭う時、迷わずに主に祈り、主の憐れみを求めるべきです。また私たちは、一人で祈るだけではなく、祈りの課題を信仰の家族である兄弟姉妹に分かち合い祈ってもらうことも大切です。イエス様は、「あなたがたのうちの二人が、どんなことでも地上で心を一つにして祈るなら、天におられるわたしの父がそれをかなえてくださいます。二人か三人がわたしの名において集まっているところには、わたしもその中にいるのです(マタイ18:19‐20)。」と言われました。私たちが、心を合わせて祈る時、主はその祈りを聞き、可能性を広げてくださり、知恵と力を与えてくださるのです。「知恵と力は神のもの」だからです。

Ⅱ;神の御手の中にある

 「知恵と力は神のもの」です。全てのことが、神様の御手の中にあります。ダニエルと3人の友人たちは、心を合わせて、祈り求めました。神様は、祈りに答えてダニエルにネブカドネツァル王が見た夢とその解き明かしを示してくださいました。それは、ネブカドネツァル王以降の歴史(国々の興亡)を神様が示されたということでした。そしてそれは、救い主の誕生、メシア預言の成就に到る歴史の概観となります。さらには、今の私たちには、イエス様の再臨によって完成する神の国という希望を教えるものであり、全ての地上の権力を超えた神様がおられ、この世界を神様が支配しておられることを明らかにした夢だったのです。
 こうしてネブカドネツァル王の怒りも収まり、ダニエルは捕囚の民でありながら、バビロン全体を治める地位につき、知者たちの長となりました。友人たちもそれぞれ用いられる事となります。神様は、ダニエルに祝福と恵みを与え、ダニエルを通してご自身の栄光を表してくださるのです。

 今日、私はダニエルの昇進よりも、夢と解き明かしが明らかにされた時のダニエルの反応に注目したいと思います。ダニエルは、全てが明らかになった時、喜び勇んで王の前に出たのではなく、まず、主なる神様を礼拝し、感謝の祈りをささげるのです。
 数十年前の事になりますが、私は、あるクリスチャンの先輩と話していた時のことを今でも時々思いだします。私は、何故かその方と「伝道するためには、人が救われるためには、何をしなければならないか」ということを話していたのです。どうしてそのような流れになったのかは分かりません。私は、いろいろ思いつくことを話しました。その中で「祈り」が重要だと話したような気がします。その人は、「神様に祈り、神様が祈りに答えてくださり、一人の人がイエス様を信じたとしよう。そしたらどうする?」と問いかけて来たのです。私は、祈りが聞かれて嬉しいことだけど、それ以上することはあるのかなぁ、と考え込んでしまいました。私が答えられないでいると、その人は、「感謝だろう」と言ってくれました。そして「まず、何をするよりも神様への感謝の祈りをすることが重要だ。祈った課題の分だけ感謝の祈りがあるはずだろう」と教えてくれたのです。その時私は、10代だったと思うのですが、それ以降私は「感謝の祈り」を忘れないようにしようと心がけるようになりました。皆さん、私たちは、実に多くの祈りの課題を持っています。そして私たちは、実際に多くの事柄を祈り、願い求めます。私たちは、祈った課題の数だけ、感謝の祈りをしているでしょうか。祈りが答えられた時、そこに必ず感謝があるはずです。

 ダニエルは、まず神様への感謝をささげました。それがダニエル書2章20-23節にあります。この祈りは、ダニエルの心からの喜び、溢れる感謝、そして信仰の告白が表現されています。21節の言葉は、神様がこの世界を創造し支配し、人間の歴史をも支配しておられるという告白です。22節は、主なる神様は、人知を超えたお方であり、人には隠されたことでも神様は全てを知っているという告白です。23節は、全てを支配し、全てを知っている主なる神によって導かれ、知恵が与えられ御心が明らかにされたという感謝の言葉です。ダニエルは、自分の祈りに答え、語るべき言葉を教えてくださった主なる神の恵み深さを知り、永遠に生きておられる神様を賛美し、知恵と力が神様から与えられることを感謝するのです。こうしてダニエルは、ネブカドネツァル王に全てを語ることが出来ました。それは、ダニエルを通して主なる神様が証しされた瞬間ともなりました。今も神様は、祈り深く歩む私たちに答えて導いてくださいます。その時には、すぐに感謝の祈りをささげましょう。

 皆さん、ダニエルは、特別な問題が起きた時に時間を割いて祈りました。しかしこれは、ダニエルの普段からの祈りの延長線上にあることです。ダニエルは、「困った時の神頼み」のような祈り方をしていません。彼は、毎日の生活の中で祈りを大切にし、どんな事でも祈っていたのです。その様子は、来週見ることにしましょう。
 私たちも毎日の生活の中で、普段から祈りを大切にし、どんなことでも主なる神様に祈り求めましょう。そのような祈りの習慣が緊急の祈りの時にも大きな力となって私たちの祈りを支えます。そして祈りを通して明らかにされる神様の知恵と力、祝福は、私たちだけに留まらず、私たちを通して周りの人たちに大きな影響を与えて行くのです。ネブカデネザル王は、ダニエルを通して主なる神様を知りました。それと同じように、私たちの周りにいる人たちは、私たちを通して主なる神様を知り、救いを知るのです。そのような神様の祝福を経験する時にすぐに感謝の祈りをささげましょう。
 「知恵と力は神のもの」です。私たちは、常に祈りつつ神様の助けをいただいて歩みましょう。また、私たちは、神様の御手の中に生かされていることを覚え、主に祈り、祈った分だけ主に感謝し主を礼拝しましょう。「知恵と力は神のもの」です。

祈り
「愛する天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。今日も神様の恵みによって礼拝出来ることを感謝致します。ダニエルは、知恵と力が神のものである事を信じて祈り続けました。私たちも神様から知恵と力をいただいて歩むために祈りつつ歩みます。神様、私たちの祈りを導いてください。
 ダニエルは、全ての事柄が神様の御手の中にあることを知り、主を礼拝し、感謝しました。神様、私たちの日々の歩みが神様の御手の中にある事を信じます。私たちは、祈りと願いだけではなく、神様への感謝を忘れずに歩みます。どうぞ導いてください。
 神様は、今も全てを支配しておられ、私たち一人一人の人生をも導いてくださることを信じます。そして必要な知恵と力は神様から与えられることを信じます。
 この祈りを私たちの救い主イエス・キリストの御名によってお祈りします。アーメン。」