2023年度1月15日(日)礼拝説教 ダニエル書6章1-10節 「生ける神を信頼する」 説教者:赤松勇二師

<子どもたちへ>

 皆は、毎日の生活の中でどのようにお祈りしているでしょうか。僕たちは、いつでもどんな時でも神様にお祈りすることが出来ますが、食事の感謝のお祈りは毎日欠かすことの出来ないものではないでしょうか。家ではお祈りしているけれど、学校の給食の時はどうでしょうか。周りの目があるから恥ずかしいと思うことがあるでしょうか。僕は、小学生の時周りの友だちに分からないようお祈りをしていたのを覚えています。「神様、このお食事を感謝します。イエス様の御名によってお祈りします。アーメン。」これは短めのお祈りですが、給食の前ではちょっと長いのです。僕は、クラスの皆で「いただきます」の挨拶をした後、一瞬目を閉じて、心の中で「神様感謝します」と祈ります。この方法だと2秒くらいで終わります。給食の時でも祈りを続ける事を考えて見つけた方法でした。
 今日は、どんな時でも神様を信じて、信頼して祈り続けたダニエルの姿から大切なことを学びましょう。

 先週は、ダニエルがエルサレムから捕囚の民としてバビロンに連れてこられたこと、ネブカドネツァル王に仕えるようになったこと、王の夢の解き明かしをしたことを学びました。
 バビロンの国は、ダニエルが解き明かした通りとなり、メディアとペルシアの連合軍に征服され、新しい王としてメディア人ダレイオスが治めることとなりました。ダレイオス王は、全国に120人の太守を配置し、その上に3人の大臣を任命しました。その3人の中にダニエルが入ることとなりました。ダレイオス王は、3人の大臣の中でも、誰よりも優れているダニエルに国を治める権威をえようと考えていました。「彼のうちにすぐれた霊が宿っていた(3)」とあるように、神様がダニエルを祝福してくださり、あらゆる知恵と知識を与えてくださったからです。

 けれどもそのことを良く思わない他の大臣たちは、「ダレイオス王は、ダニエルを自分たちの上の位に就けようとしている。ユダからの捕囚のダニエルに自分たちが従わなければならないのか。そんなことは嫌だから、ダニエルの欠点や弱みを見つけよう。そして王様にダニエルを選ばないように伝えよう」そんなことを話しながら、ダニエルを密かに監視していました。しかし、ダニエルの仕事を見てみるとまったく欠点がありません。不正もありません。王様に訴える口実が見つけられないのです。
 すると彼らは、また集まって「ダニエルの仕事上の欠点を見つけることは出来ない。でもダニエルは、毎日必ず神に祈りをささげている。この信仰についてダニエルを陥れる計画を立てよう」と話し合いました。そして「『王様以外の何にも祈ってはいけない』という法律を定めてもらうようにダレイオス王に提案しよう。」と計画を立てるのです。

 そして、大臣たちはダレイオス王の所にいって、「王様、王様はとても偉大な方です。だからこれから30日間は、偉大なダレイオス王以外に祈ってはいけないという法律を出しましょう。これに違反した場合は、ライオンの穴に投げ込むことにしましょう。」と提案しました。これは王を喜ばせることとなります。ダレイオス王は、「そうか、この私が神のように礼拝されるのだな」と嬉しくなり、大臣たちの陰謀に気づかず、言われるままに命令を出してしまいました。その時ダニエルは、どうしたでしょうか。彼は、ダレイオス王の禁令を知って家に帰りました。そしていつものように神様にお祈りしたのです。

大臣たちは、ダニエルが王ではなく、主なる神に祈っていることを確認して、ダレイオス王のもとに急ぎダニエルを訴えます。この時、ダレイオス王は、大臣たちの陰謀を知ります。知ったところで後の祭りです。王はダニエルを助けようとしますが、出来ません。なぜならば、それは、王であっても取消すことが出来ない命令だったからです。とうとうダニエルは、捕えられライオンの穴に投げ込まれ、蓋が閉められました。ダレイオス王は、ダニエルが心配で、心配で断食し、寝ることが出来ません。王は、夜が明けるとすぐにライオンの穴に向かいました。ダレイオス王は「生ける神のしもべダニエルよ。おまえが仕えている神はおまえを守ってくれたか?」と震えるような声で問いかけました。するとダニエルが「はい、王様、神様はライオンの口を塞いで守って下さいました。自分には王様に対して悪いことがない証拠です。」と元気に答えます。神様はライオンの口を塞ぎ守って下さったのです。王は、ダニエルを引き上げ、王をだまして陰謀を計画した大臣たちと家族をライオンの穴に投げ込みました。ライオンは、一瞬にして彼らに襲いかかりました。ライオンが空腹だったことが分かります。

 神様は、空腹のライオンからもダニエルを救い出してくださったのです。ダレイオス王は、ダニエルが信じ信頼している神様が生きていて、ダニエルを救い出してくださったことに驚きました。そしてダレイオス王は、ダニエルの信じているイスラエルの神を礼拝するようにという命令を全国に出しました(26-27)。ダニエルは、生きておられる神様を信じ、信頼してお祈りしていました。僕たちも、いつでもどんな時でも祈りましょう。僕たちの信じている神様は、生きておられ、僕たちの祈りを聞いてくださるお方です。また神様は、僕たちを確かに守り、助けてくださるのです。いつでも、どんな時でも、どんな事でも、僕たちは生ける神様を信じ、信頼して祈り続けましょう。

 祈り
「愛する天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。ダニエルは、不利な状況の中でも神様を信頼し祈り続けました。ダニエルがライオンの穴に投げ込まれた時にも神様は、ダニエルを守り助け出してくださいました。今も神様は、生きておられ、いつでも、何があっても僕たちを守って助けてくださる事を信じます。僕たちの毎日の生活をお守りください。小学校、中学校では3学期が始まりました。学校生活を支えてくださり、祝福をお与えください。イエス様の御名によってお祈りします。アーメン。」

「王は大いに喜び、ダニエルをその穴から引き上げるように命じた。ダニエルは穴から引き上げられたが、彼に何の傷も認められなかった。彼が神に信頼していたからである。」 
                                 ダニエル書6章23節

<適用>

 私は、高校卒業後、新宿から小田原までをつなぐ小田急線の沿線に住み、東京の予備校、そして専門学校に通っていました。当然私は、毎日のように電車を使っていました。一時期、私は、先頭車両に乗り込み、進行方向の線路を見ることにはまったことがありました。線路を見ていると線路が切り切り替わって右に左に曲がっている様子が分かります。それを見ていて私は、ふと、「あの線路が切り替わらなかったどうなるのだろうか」と考えてしまうこともありました。そんなことはないのだけれども、「不具合があったらどうなるかぁ」と思うことがあったのです。でも、もちろん線路は切り替わりますので、安心して、信頼して電車に乗っていました。
 私たちの人生の歩みの中で、私たちは何に信頼して生きるでしょうか。私たちの人生を確かなものとするために、私たちは、生ける神様を信頼して歩むことが出来るのです。ダニエルの姿からさらに学びましょう。

Ⅰ;平安が与えられます

 私たちは、生ける神様を信頼して歩みましょう。その時、私たちは神様から平安を与えられて生きることが出来ます。ダニエルは、どうだったでしょうか。聖書には、ダニエルがどのように感じ、何を思っていたのかという心境は書かれていません。けれども私は、ダニエルの行動の背後に神様からの平安があったのではないかと思います。
 ダニエルは、バビロンの知者たちが滅ぼされると言う緊急事態の時に落ち着いて対応する事が出来ました(2章)。それは、ダニエルが普段から主に祈り、信仰をもって神様を見上げていたからです。
 ダニエル書6章では、バビロンが滅びメディアとペルシアという国が支配するようになっています。支配者が変わってもダニエルは、王の側近として仕えることが出来ていました。ダニエルは、ユダヤからの捕囚の民が王の側近として仕えることが特別な事であること、神様の祝福と恵みであることを感謝していたのではないでしょうか。と同時に、ダニエルは他の大臣たちが妬みに燃え、自分を陥れるために何かを探っていることに気づいていたのではないかと思います。だからこそダニエルは、主なる神に祈り、知恵と導きを求めていたのではないでしょうか。ダニエルは、神様に支えられ守られて、「何の口実も欠点も見つけられなかった。彼は忠実で、何の怠慢も欠点も見つけられなかったのである(4)。」という生活をする事が出来たのです。ダニエルは神様によって知恵と恵みをいただき、何の落ち度のない生き方をすることが出来たのです。私たちは、そのように証しになるような生き方をする事が出来るように求めましょう。

 宮沢賢治の「雨にも負けず」のモデルは、一人のクリスチャンの青年だと言われています。宮沢賢治は、「そういう者に私はなりたい」と書きました。宮沢賢治は、一人のクリスチャンの生き方を見ていて、その生き方に憧れていたのでしょうか。
 他の大臣たちは、ダニエルの様な生き方をしたいと模範とすべき所でしたが、そのように考える事はありませんでした。むしろ口実探しに熱が入ることとなりました。人の心の醜さが表れているということでしょうか。ダニエルは、大臣たちが妬みから自分を陥れる計画を立て、王が命令を出したこと、命令に従わなければライオンの穴に投げ込まれることも知りました。けれどもダニエルは、この時も「以前からしていたように(10)」主なる神に祈りました。

 私は、ダニエルには他に方策があったのではないかと考えてしまいます。30日間という期間限定の命令ですから、「王の許可を得て30日間旅に出る」、「窓を閉めて祈る」、「祈りの時間を変えて祈る」など色々方法はあったと思います。でもダニエルにとって、他の方法を取ることは選択肢にありませんでした。彼は、「以前からしているように」「いつものように」祈るのです。
 ここで「以前からしているように」と言われていることが重要です。ダニエルは、命令が出されて困ったので祈ったのではありません。彼は何があってもなくても毎日祈っていたのです。神に祈ることが生活の一部であり、中心でもありました。だからいつものように変わらずに祈りました。ダニエルは、自分が見張られていることを分かっていて祈りました。彼は、祈りを通して与えられる神様からの平安をいつも心にもっていたのではないでしょうか。だから緊急の事があってもダニエルは、心を静めていつものように、窓を開けて祈ることが出来たのです。私たちは、今、心の窓を開いて、生ける神様を信頼して祈りましょう。神様からの平安が私たちの心に溢れていきます。

Ⅱ;神様の助けを受ける

 私たちは、生ける神様に信頼して歩みましょう。その時、私たちは、神様の助けを受けて生きることが出来ます。
 ダニエルが、エルサレムの方角に窓を開けていたと言うのは、捕囚の民の習慣でした。彼らは、いつも信仰の原点であり、神の約束の地を思い、主に祈り礼拝していたのです。ですからダニエルが窓を開けていたというのは、心を神様に開き、心を神様に満たして頂くという信仰の現れなのです。私たちは、もう一度ダニエルの信仰の姿勢に目を留めましょう。

 ダニエルは何故助かったのでしょうか。それは、彼が「神に信頼していた」からです(23節)。ダニエルは、どんな信頼をしたのでしょうか。それは、自分が助かっても助からなくても神様のご計画は確かであるという信頼です。皆さんは、神様を信じて信頼して忠実に歩んでいるならば、どうしてライオンの穴に投げ込まれるという様な危険が降りかかるのだろうかと思われるでしょうか。神様を礼拝して信仰をもって歩んでいるのに、どうして苦しみや試練があるのかと考えてしまうこともあるでしょう。神様が全知全能のお方ならば、信仰者が試練や悩みを経験しないで、問題なく生きられるようにしてくれれば良いのにと思うでしょうか。ダニエルは、どんな思いでいたでしょうか。ダニエルは、捕囚としてバビロンに移住させられるという中でも神様の守りと導きと恵みを経験していました。彼は、困難の中でも神様は、常に共にいて下さり、助け支えてくださることを知っていました。そしてダニエルは、神様が最善のことをしてくださると信じていたのです。だからいつものように、神様を信頼して心を静めて祈ることが出来たのです。

 そのダニエルの生き様を見ていたダレイオス王は、ダニエルがライオンの穴に入れられた次の日の早朝、「生ける神のしもべダニエル」と呼びかけるのです。ダニエルは、生ける神様を信じ信頼していました。ダニエルは、神様が生きていて力強いお方であると信頼していたのです。ダニエルは、以前からしているように祈りました。ダニエルがライオンの穴に入れられたという事は、彼の祈りは答えられなかったのでしょうか。ダニエルは、大臣たちの妬みのために陥れられ、ダレイオス王の命令が出されました。ダニエルは捕らえられてしまいました。ダニエルの祈りの答えはどこにいってしまったのでしょうか。神様は、ライオンの穴に入れられたダニエルを守ることで彼の祈りに答えてくださったのです。

 私たちは、どんなことでも祈ります。しかし神様の答えには3つある事を覚えておく必要があります。一つ目の神様の答えは「よろしい」と言う答えです。神様は、私たちの祈り願ったことが神様の御心であり、神様が受入れてくださるという事です。その時は、感謝の祈りとなります。二つ目の神様の答えは、「ダメです」という答えです。私たちの祈り願いが神様の御心ではなく、神様が駄目だと言う結果です。そのような時は、神様の御心を求める祈りへと変わります。三つ目の答えは、「待ちなさい」という答えです。私たちの祈り願いに対して神様の時を待ちなさいということです。その時には、私たちは神様のみわざが行われるようにと祈り続けることとなります。皆さん、神様は答えてくださっているのです。それを心に留めていきましょう。

 ダニエルを助け守り導き、祝福と恵みを与えてくださった神様は、生きておられるまことの神様です。今も私たちと共にいて、私たちを守り、導き、祝福と恵みを与えてくださるのです。私たちは、試練を経験します。私たちの人生には、困難や問題が起ります。そのような時にも神様は、最善の事を行ってくださいます。私たちは生ける神様に信頼して歩むことが出来ます。その時、私たちは神様から平安をいただいて歩むことが出来ます。心の窓を神様に開き、祈りましょう。私たちは生ける神様に信頼して歩むことが出来ます。その時、私たちは神様の助けを受けます。神様は、神様の方法で最善のことをしてくださいます。

祈り
「愛する天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。今日も主の御前に出て礼拝する事が出来る恵みを感謝致します。
 神様は、ダニエルをライオンから守ってくださいました。生ける神様は、今も私たちに目を留め、助け守ってくださる事を信じます。私たちは、生ける神様に信頼して歩みます。神様に心を開き祈ります。神様、どうか私たちの心を平安で満たしてください。
 私たちは、いつでも、どんな時でも、何があっても心を静めて主に祈り、生ける神様に信頼して歩みます。私たちに神様の助けと導きをお与えください。
 新型コロナウイルスが収束するように導いてください。ロシアとウクライナとの戦争が終わり、武力衝突が起きている地域でも紛争が終わり、世界に平和がありますようにとお願い致します。
 この祈りを私たちの救い主イエス・キリストの御名によってお祈り致します。アーメン。」