2023年6月18日(日)礼拝説教 創世記9章1-17節 「神の祝福と契約の虹」 説教者:赤松勇二師

<子どもたちへ>
 最近、「虹」を見ましたか。虹ってとてもきれいですよね。以前、「虹の色」について調べたことがありました。皆が見ている虹は何色でしょうか。僕たちが見ている「レインボーカラー」は、7色ですよね。でも国や地域によって見える色が違って、6色や8色、4色、2色という地域もあるようですよ。僕たちは、「虹」を見ると何となく嬉しくなりますね。「今日、虹を見たんだ!」と言って、虹を見たことを自慢したくなります。僕は、虹の始まりに行けないだろうか。虹の中に入ってみたいなと考えたことがあります。皆はどうですか。
 でもどうして僕たちは、虹を特別なものと感じるのでしょうか。それは、ノアの箱舟と関係があります。虹は、神様が与えて下さった特別なものだからです。先週は、ノアが神様の言葉通りに箱舟を作ったこと、ノアと家族、動物たちが箱舟に入り、大雨が降り、大洪水となったことをみました。今日は、その続きを見ることにしましょう。

 大雨で増え続けた水は、そう簡単にはなくなりませんよね。箱舟は、ノアたちを乗せたまま水の上に浮かんでいるだけです。箱舟は、波に流されながら、あっちへ行き、こっちへ行き、上に下にそれはもう大変だったでしょうね。でも神様が雨を止めて、風を起こして水が減るようにして下さると、だんだん水が減り始め、「ゴトン、ゴトン」と箱舟は山の上に止まりました。その場所は、アララテの山地という地域ですが、正確な場所は分かりません。ノアは、水が減り始めていることを知りました。でも外がどうなっているのかは分かりません。箱舟の外の世界がどうなっているのか知りたくて、ノアは、烏を放しました。烏は、休む場所がないので箱舟を出たり入ったりしています。またノアは、鳩も放しました。1回目「パタパタパタ」勢いよく飛び立っていく鳩、でも休む場所がないので箱舟に戻ってきました。2回目「パタパタパタ」、鳩は、一日飛び回って何かを口にくわえて帰ってきます。オリーブの葉っぱです。水がだいぶ減って、新しい葉っぱが出て来ていて、植物が生長している証拠です。3回目「偵察に行ってきまーす。パタパタパタ」と鳩は元気よく飛び立ちました。鳩は、箱舟を飛び立ったまま帰ってきませんでした。鳩が生活できる場所が見つかったと言うことです。

 ノアは、水が引いたことを確認しましたが、神様からの言葉がないのでまだ箱舟からは出ません。地上がすっかり乾いた時、神様は「ノア、いよいよ地上に出ても良いよ。」と言ってくれました。こうしてノアとその家族と動物たちは、約1年ぶりに箱舟から外に出て行きます。この時、ノアはすぐに神様にいけにえを献げます。ノアは、神様を礼拝する事の大切さを知っていたのです。僕たちも神様を礼拝する事を大切にして歩みましょう。

 この時神様は、一つの約束をして下さいました。それが「虹」です。神様は、「二度と大洪水で世界を滅ぼすことはしない。虹が出る時それを思い起こそう」と約束して下さったのです。虹は、神様が僕たちと約束をしてくれたしるしです。神様は、人間には罪がないとは言いませんでした。神様は、僕たちの心に罪があり、僕たちが神様から離れてしまう事を知っていました。でも神様は、「人の罪のために二度と地上を滅ぼさない」と言ってくださり、罪に対する救いの道を用意して下さったのです。それが、イエス様の十字架の救いです。
 虹は、神様が僕たちを愛してくださっているしるしであり、イエス様の十字架による救いの約束のしるしでもあるのです。僕たちは、虹を見るたびに、神様の愛と神様の救いの恵みの約束を思い出しましょう。

<祈り>
 「愛する天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。神様は、箱舟の中のノアと家族、動物たちを守ってくださいました。僕たちも神様に守られていることを感謝します。神様は、契約の虹を与えてくださいました。神様は、虹を見る度にノアとの約束を思い出そうと言ってくれました。僕たちも虹を見るたびに神様の救いの約束を思い起こし、神様に感謝をする事が出来るように導いてください。イエス様の御名によってお祈りします。アーメン。」

「わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。それが、わたしと地との間のしるしである。」                    創世記9章13節

<適用>
 先週は、たくさん雨が降りましたが、雨雲だけで、虹を見ることは出来なかったように思います。今年の梅雨も降れば土砂降りという状態で、大きな被害を受けている地域もある事と思います。被災された地域において、神様からの励ましと恵みがあり、復興が守られるようにと祈ります。
 さて、私たちはノアの洪水を見ていますが、この洪水は私たちに何を教えているのでしょうか。「神の祝福と契約の虹」という事で見て行きましょう。

Ⅰ;神に覚えられている

 神の祝福は、先ず神様に覚えられているという祝福です。神様は、ノアたちと動物たちを覚えておられました。ノアが経験した大雨は、創世記7章11節で「大いなる淵の源がことごとく避け、天の水門が開かれた」とあるように、天から大雨が降り続け、地下からは水が溢れ続けるというものでした。このような大雨が40日40夜降り続け、水は150日間増え続けました。こうして神様は、造られた全てのものを滅ぼされました。箱舟は、防水加工の施された大きな箱型であり、操縦機能はついていません。ですから一度水に浮いてしまうと、ただただ波に翻弄され、水の上を漂う事となりました。けれども箱舟は、ある一定の場所を漂っていたのではないかと思います。なぜなら、神様がノアたちを覚えていてくださったからです。この大洪水は、神様を忘れて背を向ける人類の罪への裁きでしたが、神様は信仰をもって従うノアと家族、そして動物たちを御手の中に守ってくださったのです(創世記8章1節)。

 大洪水が発生してから150日の終わりに、水が減り始め、箱舟はアララテの山地にとどまります。私は、このアララテの山地にとどまったということの中にも、神様の配慮があったのだと思うのです。先ほども言いましたように、箱舟は、舵を取ることが出来ません。ですから当然進行方向を変えることも、障害物をよけることも出来ません。けれども箱舟は、山に衝突することなく、大きな岩場に挫傷するのでもなく、舟底を山の平らな場所にしっかりとつけて、とどまることが出来たのです。神様が、ノアとその家族、動物たちを心に覚えておられた結果です。

 ノアは、地上の様子を知るために烏と鳩を使って確認をします。ある時鳩がオリーブの若葉を咥えて帰ってきたのです。これは、乾いた所が現われ、植物が芽を生だし始めたサインです。さらに7日待って鳩を放つともう帰ってきませんでした。そしてとうとう水は、ノアが601歳の時乾ききりました。創世記8章13節「601年目の第一の一日に、水は地の上から干上がった。ノアが箱舟の覆いを取り払って眺めると、見よ、地の面は乾いていた。」
 けれどもノアは、すぐに箱舟を出ようとはしませんでした。普通ならすぐにでも劣悪な環境の箱舟を脱出したい気持ちになる所です。でもノアは、それをしませんでした。家族会議が開かれ、ノアは、神様が出てよいと言うまで、神様が箱舟の戸を開けてくれるまで待つべきだと言ったのではないでしょうか。ノアは、箱舟の戸を閉じ洪水から守ってくださった神様が、戸を開いて箱舟での生活を終わらせてくださると信頼していたのです。ノアは、神様を信頼し、神様の言葉に従い行動していることが分ります。と同時にノアは、神様が共におられることを知っていたのです。

 皆さん、神様は、私たちがどのような状況の中にいる時も私たちのことを覚えていてくださり、共にいて下さいます。私たちは、その事実をしっかりと心に留めて歩みましょう。

Ⅱ;神に喜ばれる歩み

 神の祝福は、神様に喜ばれる歩み、礼拝へと導かれているという祝福です。ノアが、箱舟に入ったのは、ノアが600歳の第2の月でした。そしてノアが、箱舟を出たのは、ノアが601歳の第2の月です。と言う事は、彼らは、箱舟に1年間入っていたことになります。その生活は、とても快適と言えるものではなく、多くの困難があったはずです。窓は、天窓しかなく、当然空気の入れ替えも余り出来ない環境、排泄物の処理も全て箱舟の中で行います。そして箱舟の中は、常に動物たちの鳴き声の大合唱です。私は、想像するだけでも滅入ってしまいそうです。しかしそのような生活が1年間も出来たのは、神様がノアたちを覚えていてくださり、その状況の中で共にいて下さったからです。

 1年続いた箱舟での生活は、「箱舟から出なさい」という神様の御声によって終わりました。さてノアには、1年ぶりに箱舟から外に出たらやるべきことが山ほどあります。皆さんだったら、何をするでしょうか。まずは、深呼吸、新鮮な空気を一杯吸い込みます。お風呂(水浴び)をするでしょうか。洋服の洗濯をするでしょうか・・・。
 ノアとしては、箱舟の中を片付けること、新しい生活のために住むべき場所を確保すること、そして何よりもこの地上がどうなったのかも確認したかったでしょう。

 けれどもノアがしたことは、それら必要と思われることではありませんでした。ノアがしたことは、彼にとって最も大切なことでした。それは、神様を礼拝するということです。この礼拝の前に神様は、ノアと家族、そして動物たちを祝福し「地に群がり、地の上で生み、そして増えるようにしなさい(創世記8章17節)」と祝福を与えてくださいました。神様は、アダムに与えた造られたものを管理するという使命をノアに与えるのです。それは、神様が共におられるという祝福の約束でもあります。ノアは、神様の祝福の言葉に対して、祭壇を築き全焼のいけにえをささげました。これはいけにえをすべて焼き尽くすという、献身を表している行為です。ノアは、この礼拝を通して、常に共にいて下さった神様、祝福と約束を与え、導いてくださる神様への感謝を主にささげるという信仰を表明しているのです。まずノアがしたことは、新しい生活に向けて心を整えるということでした。そして神様の御心を求め、その神様の導きに従っていくということを確認したのです。ノアの心が、いつも神様に向けられていたということでしょう。

 神様は、ノアのいけにえ、礼拝を喜ばれました。神様は、心からの礼拝を喜んで受け入れて下さるのです。そして神様は、もう一つの約束をしてくださいました。創世記8章21節です。「主は、その芳ばしい香りをかがれた。そして、心の中で主はこう言われた。『わたしは、決して再び人のゆえに、大地にのろいをもたらしはしない。」と言う約束です。その言葉の中で神様は、「人の心の思い計ることは、初めから悪である」と人の心の本質を言っておられます。これは否定しようのない私たち自身の心の問題です。
 私たちは、神様の憐れみによって教会に導かれ、イエス様を信じ信仰に導かれました。私たちは、神様の憐れみと愛で始まった信仰が、いつの間にか自分の力によって手に入れたかのように錯覚してしまう事があります。ですから、私たちはノアのように神様を礼拝する事を第一とし心をいつも神様に向けて歩みましょう。神様は、ご自身の愛によって私たちを祝福し、恵みを与えてくださいます。

Ⅲ;救いの契約

 契約の虹は、神の愛と救いの恵みの約束です。神様は、永遠の契約をノアとその後の人類との間に結んでくださいました。まず神様は、ノアとその息子たちを祝福されました。「神はノアとその息子たちを祝福して、彼らに仰せられた。『生めよ。増えよ。地に満ちよ。』(創世記9章1節)」神様は、箱舟を出る時に語った言葉を、改めてノアに祝福として語ります。

 そして神様がノアにしてくださった契約は、洪水によって地を滅ぼすことはしないと言うものです。その契約のために神様は、一つのしるしを与えてくださいました。そのしるしが、「虹」です。普通契約と言うのは、双方が同意し、お互いに契約を交わし合う事を意味します。そして、契約を結ぶ双方は、それぞれが契約を守る責任を持つと言う性質を持ちます。しかし神様が、結んでくださる契約は、神様からの一方的な憐れみによる契約であり、神様がその契約に対して全責任をもって守ると言う種類のものなのです。しかも神様は、「永遠の契約」と言われました。神様がノアと結ばれた契約は、ノアの時代から今に至るまで、そしてこれからも有効となるものです。さらに神様は、「虹が雲の間にあるとき、わたしはそれを見て、神と、すべての生き物、地上のすべての肉なるものとの間の永遠の契約を思い起こそう(創世記9:16)」と言ってくださるのです。神様は、虹を見るたびに、ノアとの契約を思い起こしてくださるのです。虹は、神様とノアとの契約のしるしであり、神様と私たちとの契約のしるしでもあるのです。

 神様は、罪ある人間を大洪水では滅ぼす事はしないと約束をしてくださいました。けれども神様は、人の心には悪があり、人は神様から離れ罪を犯す存在であるという事実を見ておられます。この罪に対して神様は、どのように対応されるのでしょうか。私は、この虹の約束に、キリストによる十字架の救いの約束を見ることが出来ると思います。神様は、罪人を滅ぼすのではなく、罪人のために救いの道を用意してくださったのです。それが救い主イエス・キリストです。イエス様は、私たちの罪を全て背負い、十字架で神の裁きを受けてくださいました。そして神様は、イエス様の十字架の救いを信じる全ての人の罪を赦し、救いを与えてくださるのです。虹には、神様の愛と恵み、救いの契約があるのです。だから私たちは、虹を見ると嬉しくなり、テンションが上がるのだと思います。虹を見る度に私たちの救いを感謝しましょう。私たちは、それぞれの人生の中で神様と共に歩み、神様の救いの契約の中に入れられている事を覚え、主を見上げて歩みましょう。

 神様は、どんな時でも私たちのことを覚えていて下さり、私たちと共にいて下さいます。そして神様は、私たちの人生を祝福で満たし、私たちの心からの礼拝を喜び受け入れて下さます。そして神様は、愛をもって私たちを導き御手を差し伸ばして下さるのです。私たちは、そのことを感謝し、特に「契約の虹」を見るとき、これらの事を思い起こし神様に感謝をささげましょう。

<祈り>
 「愛する天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。神様は、箱舟の中のノアを覚えてくださっていたように、今、私たち一人一人の事を覚えてくださり、御手を指し伸ばしてくださることを感謝します。神様は、ノアを祝福されたように、今も私たちを祝福し、日々の歩みを支えてくださることを信じます。また私たちは、ノアのように主なる神様を礼拝して歩みます。神様、私たちの礼拝をお受入れくださり、さらに祝福を与えてください。
 神様が、愛と恵みと救いのしるしとして虹を作らえたことをありがとうございます。私たちは、虹を見るたびに神様の約束を思い起こし、感謝をささげます。私たちを導いてください。
 梅雨に入り、大雨が降り、被害が出ている地域があります。自然災害で被災された地域に神様からの励ましと支えがありますように。この祈りを私たちの救い主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。」