2023年12月3日(日)礼拝説教 ルカの福音書1章5-23節 「恵み深い主の計画」 説教者:赤松勇二師

<子どもたちへ>
 皆は、自分の誕生日が近づくとワクワクしますか。僕は、誕生日が来ると「今日は、誕生日だ」を嬉しくなります。自分の誕生日は、特別な一日という感じがしますよね。もしかしたら、誕生日の当日だけではなく、何日も前から誕生日が待ち遠しいという人もいるかもしれませんね。僕も誕生日が近づくとカレンダーを見て誕生日が近づいていることを確認することがあります。
 教会では、今日から、アドベントという期間に入ります。アドベント(待降節)というのは、救い主イエス様の誕生を記念し喜び感謝し、心から礼拝するという期間です。特に12月25日のクリスマスを迎える準備の期間となります。なので、先週までは、イエス様のお働きについて学んできましたが、今日からは、イエス様の誕生に関係する聖書のお話を学ぶことにします。

 「さあ、エルサレムの神殿で神様の前で奉仕をする人を決めよう。」エルサレムには神様の神殿(神様を礼拝する場所)があって、そこでは、祭司たちが奉仕をしていました。祭司たちは、24のグループに分かれていて、当番で神殿の仕事をしていたのです。
「今回は、だれが神殿に入って神様の御前で香をたく奉仕をするのだろうか。」みんなドキドキでくじ引きをします。「外れた。今回も当たらなかった。」とみんな残念そうでした。その中で「自分が当たった」と祭司のザカリヤが手を上げました。ザカリヤにはエリサベツという奥さんがいました。二人は、子どもが与えられるように祈っていましたが、子どもが与えられないまま年を重ねて、おじいちゃんとおばあちゃんになってしまいました。ザカリヤは、この特別な役目に喜び感謝にあふれて神様の御前に祈りをささげていました。

 すると「ザカリヤ。ザカリヤ。」と呼ぶ声が聞こえます。目の前には主の使いが立っています。「あーー、私は死んでしまう。神のみ使いを見てしまった。」ザカリヤは恐れます。当時は、神様を直接見たた者は滅ぼされると言われていました。ぶるぶる震えているザカリヤに対してみ使いが言います。「怖がることはありませんよ、ザカリヤ。あなたの祈りが聞かれたのです。あなたの妻エリサベツは男の子を産みますよ。名前はヨハネと付けなさい。その子は、あなたがたにとって喜びとなります。そして神様のために大切な働きをするようになります。」
 なんとザカリヤとエリサベツとの間に男の子が生まれるのです。しかもその子は、ずっと前に預言者によって預言されていた救い主が来られる準備をするようになるというのです。
 「いや~待ってください。もう私たちは年寄りです。エリサベツは子どもを産むことなど出来ません。そんなことが起きるなんて何によって証明されるのでしょうか。不可能ではないでしょうか。」思わずザカリヤは言ってしまいました。

 するとみ使いは、言いました。「私は、主なる神に仕えるみ使いガブリエルです。神様から良い知らせを伝えるために遣わされたのに信じないのですね。分かりました。それでは子どもが生まれるまでザカリヤ、あなたは口がきけなくなり、何も話すことが出来なくなります。」その瞬間からザカリヤは、み使いの言葉の通り何も話をすることが出来なくなってしまいました。
 しばらくして、エリサベツは身ごもりました。そして男の子が生まれました。その子の名前は「ヨハネ」と付けられました。そしてザカリヤは、また話をすることが出来るようになりました。バプテスマのヨハネの誕生です。年老いたザカリヤとエリサベツは、本当に嬉しくて、嬉しくて、心からの感謝を神様に捧げました。ヨハネは、神様の前に悔い改めるバプテスマを教えていました。このようにしてヨハネは、イエス様のお働きのために準備をすることになりました。

 神様は、ザカリヤとエリサベツの二人を忘れないで、二人に大きな恵みと祝福を与えてくださいました。バプテスマのヨハネは、成長して神様に仕え、イエス様の救いを人々に伝える働きをしました。神様は、僕たちのことを忘れず、大きな祝福を与えてくださいます。神様は、みんなのことを忘れず、真実をもって確かに守り導いてくださいます。イエス様のことを知っているみんなは、お友達にイエス様の救い、神様の愛を伝えるという素晴らしい働きが出来ます。お友達にイエス様のことを伝え、お友だちがイエス様を信じ、罪の赦しを受けることが出来るように祈りましょう。

<祈り>
「愛する天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。み使いの言った通りエリサベツは男の子を産みました。生まれたヨハネは救い主イエス様を人々に証ししました。僕たちもイエス様のことをお友だちに伝えることが出来るように助け導いてください。イエス様の御名によってお祈りします。アーメン。」

「あなたは遠い昔からの不思議なご計画を、まことに、真実に成し遂げられました。」                       イザヤ書25章1節

<適用> 
 今年もあと1か月となりました。早いものですね。11月上旬は、夏日が続いていたのですが、気がつくと12月。急に気温が下がり冬に突入という感じがします。そして今日は、アドベント第1週となりました。私たちは、主なる神様が預言者を通して語っておられた救いの計画が、神様の御手によって着実に成し遂げられたことに心を向けましょう。そして私たちは、救い主イエス様の誕生を喜び、心から賛美し礼拝する日々を過ごしましょう。今日は、「恵み深い主の計画」という視点で見ていきましょう。

Ⅰ;ザカリヤとエリサベツに

 恵み深い主の計画は、ザカリヤとエリサベツに明らかにされました。ザカリヤとエリサベツは、神様の御前に忠実に歩み、律法を守り正しく歩んでいました。彼らは、祭司としてユダヤ人たちの模範をなっていたと思われます。しかし彼らには、一つのことが心に引っかかっていました。それは、エリサベツが不妊の女性で子どもが与えられていないということでした。ザカリヤとエリサベツは、子どもが与えられないまま、年を重ねていました(ルカ1:18)。このような時、ザカリヤに神殿で香をたく役目が当たりました。これは、神様の前で行う特別な役目です。イスラエルの国には祭司が大勢いて24の組に分けられていました。この24の組が順番に神殿での奉仕をするわけです。けれども神殿で香をたくという奉仕は、すべての祭司が出来たわけではありませんでした。神殿で神様に仕えるというのは、祭司としての人生の中で一度あるかないかという貴重なチャンスです。その役目がザカリヤに当たったということです。くじ引きで当たった時、ザカリヤは誇らしく思ったでしょうし、言い知れぬ緊張も感じたと思います。

 彼が神殿で香をたいている間、人々は神殿の外に立って祈って待っているのです。その時です。御使いガブリエルが突然現れました。そしてザカリヤとエリサベツに子どもが生まれると告げました。しかも生まれて来る子は、男の子であり、名前はヨハネとつけることまでが明らかにされています。紀元前の時代、胎児の性別を知ることは出来ませんから、それが明らかにされているということは、神様のみざわと言うほかありません。この時、御使いは、「あなたの祈りが聞かれた」と言っています。御使いが、どの時点での祈りについて言っているのかは明らかではありません。主の前に香をたく時に祭司は、イスラエルの民を代表して祈ります。その祈りのことかもしれません。しかしここで御使いが言った「祈りが聞かれた」というのは、ザカリヤとエリサベツがずっと前に祈っていたこと、しかし年を重ねるにつれ止めていた祈りのことではないでしょうか。その祈りとは、「子どもを与えてほしい」という祈りです。ザカリヤは、祈ることを止めていたかもしれません。けれども神様は、彼の祈りを覚えておられたのです。ザカリヤには、とても信じられないことでした。18節の告白が彼の心境で、「もう年寄りだし、何の希望もないから無理でしょう」と言うのです。そして「神様の言葉をどうしたら信じられるのか、その証拠はあるのか」と言ってしまったのです。そこで御使いは、神様ご自身がこのことを語っておられると伝えました。そして不信仰にも疑ってしまったザカリヤは、子どもが生まれるまで話すことが出来なくなりました。エリサベツは、その後、妊娠し子どもを宿すこととなりました。

 実は、ザカリヤという名前には「神は覚えておられる」という意味があります。またエリサベツという名前には「神は私の誓い」という意味があるのです。神様は、ザカリヤ夫婦の祈りを聞いて覚えていて、その約束を今果たそうとしておられたのです。神様は、ザカリヤの祈りを覚えておられたし、エリサベツに確かな約束を与えてくださいました。恵み深い主の計画は、まずザカリヤとエリサベツ夫婦に示されました。ザカリヤは、神様の言葉を信じる事が出来ず疑いの心を持ってしまいました。
 皆さんは、神様の言葉を疑わず信じて聞くことが出来ているでしょうか。私たちのことを覚えておられ、祈りに耳を傾けてくださる主なる神様を見上げ、救い主イエス様を心に迎えクリスマスを祝いましょう。

Ⅱ:バプテスマのヨハネの誕生によって

 恵み深い主の計画は、バプテスマのヨハネの誕生によって明らかにされました。バプテスマのヨハネを通して恵み深い主の救いの計画は着実に備えられて行くこととなります。
 バプテスマのヨハネは、4つの福音書がすべて取り上げているほど重要な人物だということが出来るでしょう。このバプテスマのヨハネは、「神から遣わされた」人です(ヨハネ1:6)。何のためでしょうか。それは、「光について証しするため」です(ヨハネ1:7)。この「光」と言われるお方は、イエス様の事です。ヨハネの福音書は、イエス様について「光」という言葉を使います。1章5節「光は闇の中に輝いている。闇はこれに打ち勝たなかった。」。イエス様ご自身も「わたしは世の光です。」と言われました。イエス様は、この世を照らす真の光です。イエス様は、「わたしは世の光です。」と言われ「わたしに従う者は、決して闇の中を歩むことがなく、いのちの光を持ちます(ヨハネ8:12)」と言われました。イエス様は、子なる神として父なる神様と共におられ、天地創造をされました。イエス様に命があり、イエス様は人の光なのです。バプテスマのヨハネは、この光であるイエス・キリストを証しするために神様から遣わされたのです。ヨハネは、自分に与えられた使命に忠実に歩みました。

 バプテスマのヨハネは、母の胎にいる時から、聖別されていて、聖霊に満たされた人でした。ヨハネは、人々の心を神様に向けさせ、救い主を受け入れることが出来る道備えをするのです。御使いは、ザカリヤに生まれる子(バプテスマのヨハネ)が、「エリヤの霊と力で、主に先立って歩みます。」と語っています。旧約聖書の最後の預言者マラキは、「見よ。わたしは、主の大いなる恐るべき日が来る前に、預言者エリヤをあなたがたに遣わす(マラキ書4:5)」と語りました。この預言は、バプテスマのヨハネのことで、イエス様は、バプテスマのヨハネこそ来るべきエリヤだと言われました(マタイ11:12-14)。

 今週の御言葉を読みましょう(イザヤ25:1)。イザヤは、救い主に関する預言をたくさん語った預言者です。ですからイザヤ書には、救い主の誕生や救い主が人類の罪からの救いのために、どれほどの苦しみを通るのかが書かれています。イザヤの預言は、イエス様が人として誕生する700年以上も前のことです。アブラハムに語られた契約の言葉、アダムとエバに語られた神様の言葉(創世記3章15節)を考えると、神様がはるか遠い昔から人類の救いの計画を持っておられたことがわかります。神様は、何千年たってもその契約を忘れず、真実に計画を実行してくださっていました。
 神様は、私たち一人ひとりに計画を持っておられます。神様は、ご自身の真実をもって私たちに対する計画を成し遂げ、私たちの人生を導いてくださいます。その事を信じましょう。

Ⅲ;私たちに対して

 恵み深い主の計画は、私たちに対して明らかにされました。主なる神様は、私たちに対して常に恵み深いお方です。
 イザヤは、「ひとりのみどりごが私たちのために生まれる。ひとりの男の子が私たちに与えられる。(イザヤ9:6)」と預言しました。
 また、イエス様が誕生した時、御使いは「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになりました(ルカ2:11)」と宣言しました。

 皆さん、恵み深い主の計画は、私たちのための計画です。神様ご自身が真実をもって成し遂げられた救いの計画は、実に私たちのためなのです。神様は、私たちのことを覚えておられ、救いの御手を伸ばしてくださいます。神のひとり子であるイエス様は、私たちのために、あなたのために神の在り方を捨て、あなたの罪を背負うために、人となってお生まれくださったのです。恵み深い主の計画に感謝し、信じて救いの恵みを受け取りましょう。また、心からの賛美をもって主を礼拝しましょう。

<祈り>
「愛する天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。ザカリヤは、神様の御言葉を聞いた時、最初信じることが出来ずに疑ってしまいました。私たちは、神様の御言葉を信じて従う信仰を持つことが出来るように導いてください。バプテスマのヨハネは、救い主イエス様を証しする働きをしました。私たちも救い主イエス様を人々に伝えることが出来るように力を与えて下さい。
 恵み深い主の計画は、私たちのための計画であり、救い主イエス様が私たちのためにお生まれ下さったことを覚え、心から感謝し御名を賛美します。
 クリスマスの恵みが一人ひとりの上にありますように。この祈りを私たちの救い主イエス・キリストの御名によってお祈りします。アーメン。」