2025年11月30日(日)アドベント第1週 イザヤ書9章1-7節 「万軍の主の熱心」 説教者:赤松勇二師

2025年11月30日(日)アドベント第1週 イザヤ書9章1-7節 「万軍の主の熱心」

<子どもたちへ>
 先々週、大分県でとても大きな火災が発生しました。たくさんの家が燃えてしまい、たくさんの人が避難をしました。被災された方々に神様のお慰めがあるようにと祈りましょう。
 昔々、イエス様がお生まれになる700年以上も前のことです。イスラエルの国が外国によって攻め込まれ家々が焼かれ滅ぼされるということがありました。その時イスラエルの国は、北と南に分裂していて、神様のことを信じない王様が治めていた北イスラエルの国がアッシリアと言う国に攻め込まれ占領されてしまいました。人々は家を焼かれ、逃げ回るしかありませんでした。このアッシリア軍が南のユダにも攻め込もうとしていました。

 その時、神様の言葉を人々に伝える働きをしていた預言者のイザヤが立ち上がりました。「皆さん、聞いてください。神様がとても素晴らしい約束を語ってくださいました。今は、アッシリアという大きな国が攻め込んでくるかもしれないという恐れがあります。良いことなど、どこにもないように感じるかもしれません。けれども、神様は、苦しんでいる人たち、良いことなど全くないと嘆いている人たちに光を与えてくださいます。皆さんは、大きな光を、希望を見ます。」イザヤは、希望に満ちた顔で大胆に語りました。人々は、「光だって、そんなのどこにあるのか。今にもアッシリアに滅ぼされてしまいそうなのに。」と全く理解できませんでした。

 イザヤが続けます。それが今週の御言葉です。一緒に読んでみましょう。
「ひとりのみどりごが私たちのために生まれる。ひとりの男の子が私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は、『不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君』と呼ばれる。」イザヤ書9章6節。(もう一度読みましょう)

 イザヤは、「皆さん、私たちのために一人の赤ちゃんが生まれます。男の子です。この子は、私たちを苦しみから救い、光の中を歩ませてくださる救い主です。この方は、すべての主権があって、私たちを導く助言者です。また力ある神様として私たちを支えます。永遠の父としてすべてを支配しておられます。そして完全な平和を与えてくださるお方なのです。」と伝えました。聞いていた人たちは、「そんなに素晴らしい救い主が現れるなら大丈夫だね。」と希望を持つことが出来るようになりました。

 イザヤが救い主の誕生について預言したのは、イエス様がお生まれになる700年以上も前のことです。人々は、イザヤの預言を聞いてからずっとメシア(救い主)が現れるのを祈り待ち続けました。700年というと約束など忘れ去られてしまうと思うでしょう。しかしイザヤは「万軍の主の熱心」が完成させますと言いました。そう、神様ご自身が救いの約束をイエス様の誕生によって実現してくださったのです。
 今でも神様は、僕たち一人ひとりに情熱を傾けてくださり、愛し、救いを与えてくださいます。イエス様は、僕たち一人ひとりのためにお生まれになりました。
 今日から、アドベントという期間に入ります。これはイエス様のお生まれをお祝いするための準備の期間です。イエス様への感謝の心をもって礼拝し、心からの賛美をささげましょう。

<祈り>
「愛する天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。神様は、イザヤを通して救い主イエス様のお誕生を約束してくださいました。心からありがとうございます。今も神様は、僕たちを情熱をもって愛してくださり、導いてくださることを信じます。クリスマスを迎えるこの時期を、喜びをもって過ごすことが出来るように導いてください。大きな火災の被害にあっている人たちの上に神様の豊かな慰めを注いでください。イエス様の御名によってお祈りします。アーメン。」

「ひとりのみどりごが私たちのために生まれる。ひとりの男の子が私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は、『不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君』と呼ばれる。」                    イザヤ書9章6節

<適用>
 ある俳優さんのお別れの会の時に、その方の人生観(生き方)が紹介されていました。その方は、「人生は『wonder(不思議)』で、この『wonder』が『full(一杯)』なんだ。だから楽しまなくっちゃ」と言っていたそうです。「Wonder」というと「驚き」や「不思議」という意味が出てきます。特に驚きを表現する時に使われることが多いかもしれません。でも「wonder」が「full」で「wonderful」となると、「素晴らしい」とか「素敵な」という意味になるのです。これは、「wonder」(不思議・驚き・奇跡的な)が転じて「素晴らしい」という意味を持つのでしょう。(諸説あります)
 聖書では、「wonderful」と言われた人物がいます。それは、イエス様です。イエス様は、「不思議な助言者(ワンダフルカウンセラー)」と言われています。イザヤは、さらに素晴らしい表現をして救い主を紹介しています。私たちは、素晴らしい救い主イエス様を心に宿す祝福が与えられています。これこそ、万軍の主なる神様の情熱が込められている約束です。

Ⅰ;闇に輝く光

 万軍の主なる神様が私たちに傾けてくださる情熱は、「闇に輝く光」によって明らかにされています。イザヤが預言者として活躍していた時代は、イスラエルの国が北イスラエル王国と南ユダ王国とに分裂して衰退に向かっていた時でした。預言者イザヤは、北イスラエル王国がアッシリアに抑圧され、徐々に占領され、イスラエル民族全体に暗い絶望にも似た困難が横たわっているという時代に、南ユダ王国で活動していた預言者です。イザヤが見ていた現実は、「地を見やると、見よ、闇と苦しみ。光さえ雨雲の中で暗くなる(5章30節)。」であり、「彼が地を見ると、見よ、苦難と暗闇、苦悩の闇、暗黒、追放された者(8章22節)。」と言うものでした。イザヤは、人々が暗やみ、苦悩、暗黒を感じていた時代に同じ事を感じたに違いないのです。同時にイザヤは「しかし」と、暗闇とは正反対の希望を見ることが出来ていました。それが9章1節からの預言の言葉です。「ゼブルンとナフタリ」というのは、北イスラエルの北部に位置していて、いち早くアッシリアに占領された地域です。またここは、「異邦の民のガリラヤ」と呼ばれています。アッシリアに占領された北イスラエルは、アッシリアから移り住んでくる人たちにより、「異邦の民」と呼ばれるようになったのです。これはイスラエルの民にとって屈辱的なことでした。このように暗やみと絶望が広がり、苦難と苦悩が襲いかかる中で、イザヤは「大きな光を見、光が輝く」と語りました。しかもその光は、闇を照らし、すべてを明るくする神様の栄光です。

 このようなイスラエルの状況は、現在の私たちにも当てはまるのではないでしょうか。私たち日本人にとっては、外国によって攻め込まれ国が滅びると言うことはありません。しかし国際情勢を見るならば、戦争はそれほど遠いことではありません。和平交渉が進んでいるとは言え、ウクライナやガザはいまだに戦争状態にあります。日本の周辺でも不安定さを感じることがあります。また私たち自身の人生を考えても、全てが明るく順風満帆と言うことはありません。私たちは、言いようもない不安を感じる事があります。仕事はうまくいっているけれども、プライベートではうまくいかい、いつの間にか問題が山積してしまう事があり、様々な要因によって自分が望まなくても困難に直面することがあります。そして私たちは、自分の罪との葛藤という霊的な問題も抱えています。

 でも私は、大丈夫だと信じています。なぜなら、救い主イエス様がおられるからです。そのことをイザヤは、4節から5節で語っています。イザヤは、光が輝き、喜び楽しむと語りました。その理由が4節から説明されているのです。4節は、ヘブル語の原文では「なぜなら」ではじまります。「ミディアンの日」と言うのは、士師記6章から登場するギデオンによって勝利した出来事のことです。あの時ギデオンに力があったから、イスラエルが強固な軍隊をもっていたからイスラエルは救われたのでしょうか。そうではありません。ギデオンもイスラエルも弱りに弱っていました。戦いの意思を持っていたのはたったの300人でした。この弱小の集団が13万ものミディアンの連合軍に勝利できたのは、全能の主なる神様の御力によることでした。イザヤは、それと同じように全能の主なる神様の御力によってすべてのことが行われると言っているのです。

 私たちが「良いことなどない。どんな希望が持てるのか」と感じたとしても、そこに光が差し込むのです。なぜなら、それが万軍の主なる神様の力の現われだからです。私たちの救い主イエス様は、私たちの心に光りを与え、重荷と肩のむちを取り除き、虐げや苦悩の代わりに喜びと恵みを与えてくださいます。
 イザヤは、「大きな光を見るかもしれない。見るだろう。光が輝くかもしれない。」のように、もしかしたら、というあやふやな言い方はしていません。イザヤは、イエス・キリストがお生まれになる700年以上も前に「大きな光を見る」、「光が輝く」と完了したこととして確信をもって預言したのです。「ひとりのみどりごが私たちのために生まれる。ひとりの男の子が私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は、『不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君』と呼ばれる。」イザヤ書9章6節

Ⅱ;とこしえに続く救い(イザヤ9:6-7)

 私たちに傾けられている万軍の主なる神様の熱心は、「とこしえに続く救い」です。イザヤは、「ひとりのみどりごが私たちのために生まれる」と預言しました。イザヤは、神であるお方が人となってお生まれになることを預言したのです。この預言の言葉は、救い主イエス・キリストが私たちをどのように導かれるのかをはっきりと教えている言葉です。今週の聖句を一緒に読みましょう。
「ひとりのみどりごが私たちのために生まれる。ひとりの男の子が私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は、『不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君』と呼ばれる。」イザヤ書9章6節

 私たちのためにお生まれになるイエス様は、「力ある神、永遠の父」です。イエス様は神であり、永遠に存在しておられるお方です。そして決して変わることのない永遠の愛をもって私たちとかかわってくださいます。
 そして私たちのためにお生まれになるイエス様は、「平和の神」です。イエス様は私たちの罪を赦し、神様との和解を与えてくださるお方なのです。私たちは、罪のために神様との関係が最悪な状態になっています。そしてその関係修復は、私たちたちの力ではどうにもできません。そこにイエス様が平和、和解を与えてくださいます。イエス様が与えてくださる平和(シャローム)は、調和の取れた完全な平和です。もし、私たちが誰かとの間に問題があり、不和や不一致があると感じるなら、イエス様に目を向けましょう。イエス様は、私たちの人間関係の間に入ってくださり、「調和のとれた完全な平和」をもたらしてくださいます。
 そしてイエス様は、「不思議な助言者」です。この言葉を英語では、「wonderful counselor(ワンダフルカウンセラー)」と訳しています。Wonderful counselorであるイエス様によって導かれるなら、そこには、心からの楽しみがあります。イエス様は、「wonderful(素晴らしい、素敵な)」なお方です。イエス様は、私たちの想像をはるかに超えた素晴らしい助言、助けを与えてくださるお方です。だから私たちは、イエス様によって楽しみ、喜びながら生きることが出来るのです。皆さん、心にWonderfulなイエス様をお迎えしませんか。

 イザヤ9章1節に「異邦の民のガリラヤは栄誉を受ける」とあります。この約束のようにイエス様は、ガリラヤを拠点として働きを行いました。まさにイエス様は、イザヤの時代にいち早く苦しめられた地域をご自身の光で包み込んでくださったのです。このイエス様のご支配は、とこしえに変わらず、私たちに実現するのです。そしてこの約束は、「万軍の主の熱心がこれを成し遂げる」と言われているように、神様ご自身が約束し、神様ご自身が私たちに与えてくださるものです。と言うことは、イエス様を信じるすべての人の心にこの預言の言葉は実現するということです
 私たちのためにお生まれくださったイエス・キリストは、闇を照らす光です。私たちは、イエス様に照られる時、心が光に包まれ、恵みを与えていただくことが出来ます。私たちが、闇を照らす光であるイエス様を心にお迎えするならば、私たちは、どんなことがあっても大丈夫です。皆さんの人生に、万軍の主なる神様の熱心や情熱的な愛が満ち溢れ、イエス様による平安に包まれるようにと願います。

<祈り>
「愛する天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。イザヤは、救い主の誕生と救いのみわざについて『万軍の主の熱心がこれを成し遂げる』と預言しました。今も神様ご自身が、私たちに情熱を傾け、私たちを導き祝福してくださることを感謝いたします。
 私たちは、光であるイエス様を信じます。不思議な助言者であるイエス様、私たちの日々の歩みを導いてください。力ある神であるイエス様、あらゆる状況の中にあっても私たちを守ってください。永遠の父であるイエス様、私たちを励まし力づけてください。平和の君であるイエス様、私たちの罪を赦し神様との和解を与え、私たちの心が主の平和で満ち溢れるように祝福を与えてください。
 神様、世界中に神様ご自身の愛と恵みが満ち溢れますようにとお願いをいたします。この祈りを私たちの救い主イエス・キリストの御名によってお祈りします。アーメン。」