<子どもたちへ>
小学校では、道路での自転車の乗り方や交通ルールについて学ぶために、毎年「交通安全教室」が行われています。交通ルールには、禁止事項も多くありますね。どうして交通ルールを学び、それを守る必要があるのでしょうか。それは、僕たちが安全に道を歩いたり、自転車を乗ることが出来るために必要だからです。もし、僕たちが交通ルールを知らなかったり、守らないなら、危険なことになります。
神様は、僕たちが生きていくために必要な基本的な10の戒めを与えておられます。聖書を読むと「・・・してはならない」と禁止事項が多いと感じるかもしれませんが、これは、僕たちの人生にとって大切な事を教えています。一つ一つ見る事にしましょう。そして今日は、「・・・してはならない」という戒めを「・・・していこう」という前向きな表現にしてみたいと思います。
教団の小学生キャンプでこの「十戒」がテーマになった年があり、皆で暗記していました。その時に覚えた人もこの中にはいると思いますが、今も覚えているでしょうか。
まず僕たちと神様との関係で大切なことが教えられています。
1.「あなたには、わたし以外に、ほかの神があってはならない。(3)」
天地を造られた神様以外を神様としてはいけません。神様は、「わたしがあなたの神だから他には必要ないよ」と教えておられます。
2.「あなたは自分のために偶像を造ってはならない。それらを拝んではならない、仕えてはならない(4)」。僕たちは、神様としてどのような偶像も造ってはいけません。そして本当の神様以外を礼拝してはいけません。神様は、「目には目ないけれど、いつでもどこでも僕たちと一緒にいる」と約束してくださり、僕たちは、本当の神様を礼拝できるのです。
3.「あなたの神、主のみ名をみだりに口にしてはならない。(7)」神様の名前をふざけて使ってはいけません。僕たちは、神様を心から信じて賛美していきましょう。
4.「安息日を覚えて、これを聖なるものとせよ。(8)」今では、日曜日の礼拝の事と理解できますが、僕たちは、礼拝を大切な日として守らなくてはなりません。僕たちは、神様を礼拝するために招かれています。
まずこの4つが、僕たちと神様との大切な関係を教えています。続く6つの戒めは、人との関係で大切な事が教えられています。
5.「あなたの父と母を敬え。(12)」僕たちは、お父さんとお母さんを大切にし、従いましょう。この戒めには、神様の祝福が与えられるという約束があります。そして親に対する態度は、そのまま神様への態度に現れていきます。
6.「殺してはならない。(13)」言わなくては分かりますね。僕たちは、自分も他の人も命を大切にしましょう。
7.「姦淫してはならない。(14)」神様は、結婚が尊ばれることを願っていて、結婚以外の性的な関係を禁止しています。ここには結婚が、神様からの恵みで溢れる約束があります。
8.「盗んではならない。」これも言わなくても分かりますね。神様は、僕たちに必要なものを全て与えてくださいます。
9.「偽りの証言をしてはならない。」嘘をつくことなく、正直に生きていきましょう。
10,「隣人の家を欲してはならない。」ちょっと分かりづらい表現ですが、これは、「あれが欲しい、これが欲しい」と必要以上に求めることが禁止されているのです。やはり神様は、僕たちに必要な事を知っていてすべて与えてくださいます。
僕たちは、神様に喜んでいただける生活をすることが出来るように祈り求めましょう。また、人間関係が神様によって守られるように祈りましょう。十戒を心に留めながら神様に助けていただきましょう。
祈り
「愛する天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。神様を信じて従い、神様に喜んでいただける生活をすることが出来るように守ってください。また神様、友達との関係を守ってください。十戒の一つ一つの言葉をしっかりと心に留めることが出来るように導いてください。イエス様の御名によってお祈りします。アーメン。」
<適用>
「あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、知恵を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。」
マタイの福音書22章37、39節
続いて神様が十戒を通して教えておられることについて学びましょう。「戒め」とありますが、これはそれを実行すること以上に、十戒を学び、どのような態度をとるのかが重要になってきます。十戒は、「私たちの神様に対する態度」と「私たちの人に対する態度」の二つに分類することが出来ます。
Ⅰ;神様に対する態度
私たちには、神様から与えられた十戒があります。十戒で教えられていることは、まず私たちの神様に対する態度がどうあるべきか、と言うことです。
十戒の中でも重要な事は、第一戒です(3)。第一戒は「あなたには、わたし以外に、ほかの神があってはならない」です。神様は、唯一です。神様は、天地を創造され、すべてを支配しておられます。そして人間を造りいのちを与え、愛してくださるお方です。イスラエルの民は、まずこのことを確認する必要がありました。なぜなら、彼らは、エジプトにいた約400年の間に、エジプトの神々の影響を受けていたからです。エジプトの神々を神とする人もいたかもしれません。また約束の地には、カナン人がいますから、土着宗教があるのです。それらの誘惑を受けてしまうのは目に見えています。だから神様は、イスラエルに大切な事として、まことの神様のみを信じることを命じたのです。
日本では、「八百万の神(やおよろずのかみ)」と言われています。そして日本では、何を信じているかよりも、信心深さが重要視されているように思われます。その延長線上は、何を信じてもかまわない、どれも同じということになります。ですから私たちは、人が信じ、礼拝するべき神様は、創造主なる神様だけであることを心に銘記しましょう。
第二戒は「自分のために偶像を造ってはならない。それらを拝んではならない、仕えてはならない(4-5)」です。神様は霊のお方ですから、人間には見ることは出来ません。そのようなお方を像として作ってはいけないのです。太陽も月も星も木々も水の中の生き物も陸上の動物も、全て神として拝んではいけないし、どんな形も造ってはならないのです。これが天地を造られた神だと言って、像を造ってもいけないのです。それは、人が作ったものでしかないのです。そこには、命も力もありません。イザヤは、木々を育ててそれで偶像を造るむなしさを指摘しています。「それは人間のために薪となり、人はその一部を取って暖をとり、これを燃やしてパンを焼く。またこれで神を造って拝み、これを偶像に仕立てて、これにひれ伏す(イザヤ44:15)」「ねたむ神」と言うのは、嫉妬深いというのではありません。これは神様の情熱が大きいという事なのです。神様は、私たちが心から、神を信じ仕える事を望んでおられるのです。そのように歩む時私たちは、神様の祝福をいつまでも受けることが出来るのです。
第三戒は、「主の御名をみだりに口にしてはならない(7)」です。これは、神様の御名を使って偽りの誓いをしてはいけない、神様の御名をふざけて使ってはいけないということです。もっと積極的に考えれば、私たちは、いつも神様を賛美し、神様に祈り、神様を喜ぶ生き方が出来るということです。
第四戒は「安息日を覚えて、これを聖なるものとせよ」です。それは、神様が6日間で天地を創造し、7日目に休まれ、祝福されたからです。ですから6日間働き、7日目は安息日として仕事を休み、神様のみわざを覚え、神様を礼拝する日として守ることが定められました。安息日は、旧約時代では金曜日の日没から土曜日の日没までとされていました。今私たちは、イエス様が十字架にかかり、よみがえられた週の初めの日を記念して、日曜日に礼拝を守るようになりました。私たちは、7日のうちの1日を「主を礼拝する日」として大切にします。それは、先ほども言いましたように、その日を神様が聖別し、祝福されたからです。ですから天地創造の初めから人は、神様を礼拝して生活するように造られているのです。神様は、私たちの礼拝を祝福し、恵みを注いで下さいます。
私たちの神様へのあるべき態度は、創造主なる神様だけを見上げ、神様だけを礼拝するという態度です。そこには神様からの大きな恵みと祝福が約束されています。
Ⅱ;人に対する態度
私たちには、神から与えられた十戒があります。その後半は、人に対するあるべき態度が教えられています。
第五戒は、「あなたの父と母を敬え(12)」です。これは、私たちが人として生きていくために最も大切な戒めと言えると思います。そしてこの戒めは、約束がセットになっている特別なものです。その約束とは、約束の地で長生きするというものです。この戒めは、子どもに対する事だけではないと思われます。敬われるべき親は、神様が人を愛するように責任をもって子どもを愛して育てる使命が与えられています。子どもは、自分を生み育てている親を心から敬うことが求められます。この親子の関係は、私たちと神様との関係にとても重要な意味を持ちます。親への尊敬の思いは、私たちの天の父である神様への畏敬の念となって現れるからです。またこの戒めは、人を大切にするという第六の戒めにつながっていると思います。一番身近な親を敬い、大切に出来ない人は、他の人を敬い、大切にすることが出来ないのではないでしょうか。
第六戒は「殺してはならない(13)」です。本来なら詳しい説明などいらない戒めですが、残念ながら、現代社会の中では忘れられているのではないかと思う時が多くあります。私たちは、「殺してはならない」と教えられるだけではなく、なぜ人を殺してはいけないのかを知る必要があります。なぜ人は、人を殺してはならないのでしょうか。それは、人が神のかたちに創造され、神様が一人ひとりに命を与え、愛しておられるからです。全ての人が神様にとって、かけがえのない大切な存在だからです。ですから人は、他人でも自分でも命を奪う権利を持っていません。
この戒めをイエス様は、私たちの心の態度の問題として教えてくださいました。イエス様はこう言われました。「昔の人々に対して、『殺してはならない。人を殺す者はさばきを受けなければならない』と言われていたのを、あなたがたは聞いています。しかし、わたしはあなたがたに言います。兄弟に対して怒る者は、だれでもさばきを受けなければなりません。兄弟に『ばか者』という者は最高法院でさばかれます。『愚か者』という者は火の燃えるゲヘナに投げ込まれます。マタイ5:21‐22)。」イエス様は、私たちの具体的な態度が心の中から沸き起こって来ると言われました。ですから私たちは、自分の心を問題としなければなりません。私たちは、心の底から他の人を大切にしているのでしょうか。自分の心をチェックしましょう。
第七戒は、「姦淫してはならない」です。他の人との関係を考える時、「姦淫してはならない」と言う戒めもまた重要です。神様は、天地創造の中で人を男と女とに創造し結婚を定められました。そして神様は、結婚が尊重され、聖なるものとして守られるべきであると教えています。人に与えられた性は、欲望のままに用いるのではなく、結婚関係の中で許されている恵みなのです。もし誰かが、性的快楽を結婚関係意外に求めるならば、その人は、多くの問題を抱える事になります。しかし結婚の中での性的関係は、私たちの心に平安と多くの恵みを与えます。また結婚以前に不特定の人と性的な関係を持つならば、その人の心は、傷つき、不安と多くの問題を抱えることになります。しかし性を結婚まで大切に保つならば、そこには多くの祝福と安心があるのです。
第八戒は、「盗んではならない(15)」です。これは、他人のものを大切にすることです。この戒めの範囲は、決して「持ち物」だけではなく、相手の時間なども考えに入れる必要があります。
第九戒は、「偽りの証言をしてはならない(16)」です。嘘は、他人を傷つけますからそれはいけないのです。
第十戒は、「隣人の家を欲してはならない(17)」です。むさぼりの心を持ってはいけないという事です。他人のものを羨ましく思い、妬み、嫉妬するとそれが偽りに発展し、盗みに発展し、さらに大きな罪へと発展してしまいます。これらのことは、神様が私たちに与えてくださるもので満足することを教えます。神様は、私たち一人一人に必要な全てのことをご存じであり、その必要を確かに満たしてくださいます。
私たちの人に対するあるべき態度は、相手の尊厳(人権)を尊重するという事でしょうか。神様が、私たち一人ひとりを大切にしてくださるように、私たちも他の人を大切にすることです。これが人間関係にとって土台となることです。
Ⅲ;私たちの基準
私たちは、神から与えられた十戒があります。この十戒は、私たちの人生の重要な基準となります。神様は、モーセを通してイスラエルの民に対して十戒を中心に多くの律法を与えました。その多くは、旧約時代の契約と理解することが出来ます。しかし十戒については、すべての時代の全ての人が守るべきものだと言えます。
イスラエルの民は、十戒を守り、主なる神様に従う事が求められました。けれどもそれは、神様からの一方的な命令ではありませんでした。イスラエルの民は、神様への信仰の応答として神様の戒めに従うのです。神様は、イスラエルの民に「わたしは、あなたがたをエジプトの地、どれいの家から導き出したあなたの神、主である(2)」と言われました。神様は、イスラエルをエジプトの苦境から救い出してくださったお方です。イスラエルの民は、自分たちを苦境から救い出し、安息を与えてくださった真の神様への感謝の心をもって十戒を聞き、守る必要があるのです。
それは私たちにとっても同じです。神様は、私たちにイエス様の十字架を通して罪と死からの解放、罪の赦しと永遠の命の希望を与えてくださいました。私たちは、罪赦されるため、救われる条件として神様の戒めを守るのではありません。私たちは、イエス様の十字架の死と復活を信じる信仰によって罪赦され、救われたことを感謝して神様の御声に聞き従うのです。私たちは、十戒の言葉を思い巡らせば巡らすほど、自分の足りなさ、罪深さを自覚することでしょう。私たちは、イエス様の十字架の救いを受けて、神様の憐れみによって守られ、従っていくことが出来ます。
イエス様は、十戒を二つの事としてまとめてくださいました。今週の御言葉です。「あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、知恵を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。(マタイ22:37、39)」私たちは、神様から与えられている十戒を心に留め、私たちを愛し救い、恵みを与えてくださる神様を信じ、神様を心から愛し従いましょう。私たちは、イエス様の十字架の救いを感謝して、他の人に対して心からの愛を示しましょう。
祈り
「愛する天の父なる神様、あなたの聖なる御名を賛美します。十戒にある一つ一つの戒めを心から感謝致します。私たちは、天地の創造主なる唯一の真の神様だけを信じ、礼拝します。神様、どうか私たちの心を満たし祝福してください。
そして私たちは、イエス様の十字架の救いを信じ感謝して御言葉に従って歩みます。私たちの家族を祝福し、私たちの人間関係を導き、私たちの生きている社会に恵みを注いでください。御心が天で行われるように、地でも行われますように。
私たちは、心から神様を愛し仕え、心から隣人を愛し仕え合います。どうぞ導いてください。
新型コロナウイルスの感染が広がり続けています。神様、私たちの生活と健康を守ってください。日本中に、世界中に神様の慰めが溢れますように。すべての医療従事者を守もり、支えてください。
この祈りを私たちの救い主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。」